諸外国においては、大規模災害対応では軍隊を中心とした災害対応組織があらかじめ決められています。日本ではこれまで自衛隊をできるだけ使いたくないという風潮もあって、自衛隊の能力が十分に使われていないように思います。しかし、東日本大震災や阪神・淡路大震災で自衛隊の果たした役割を見ても、我が国においても自衛隊を中心とする災害救助態勢を作り上げておくことが必要です。
特に災害時の指揮系統を明らかにしておかなくてはなりません。私は緊急事態が発令された場合に、自衛隊の指揮官の下に警察、消防、民間の建設会社、運輸会社などが集結するような形を作っておくべきだと考えています。多くの国では、憲法などに国家緊急事態の規定があり、これに基づいて緊急事態の指揮組織も明らかにされているのです。しかし、残念ながら日本国憲法には、国家緊急事態の規定がありません。
記憶に新しい11年の東日本大震災の時など、総理官邸に集まった各大臣は「どうしたらいいか、どうするべきか」から議論を始め、対応が後手後手に回りました。その結果、被害対策の組織作りをしている間に多数の人が亡くなる事態になりましたが、今のままでは同じ轍を踏んでしまいます。
他国と同じように自衛隊を活用して大規模災害に対応する態勢を作らなければなりません。しかし安倍総理によって国家安全保障局も作られたので、今後、緊急事態の規定も定められていくことになると思います。
「なぜ軍人が都知事選に出馬するんだ」という声があるのも耳にしていますが、むしろ災害対策のスペシャリストである自衛隊を活用する適任者として、自衛隊のOBである私以外に誰がいるでしょうか。
例えば、災害時には海上自衛隊の船が役に立ちます。もし、海上自衛隊が空母を持ち、空母が日本海や太平洋に浮かんでいれば、1空母当たり1万人ほど収容できます。陸地の道路が寸断されても、自衛隊の協力があればヘリなどでの移動も可能で、こうしたことも国に働きかけていきたいと思います。
また、五輪開催に向けてはテロ対策も要求されます。それこそ自衛隊を瞬時に動かせるトップが必要ですが、その点、私は誰よりも自衛隊の実情を理解していると自負しています。
「自衛隊を上手に使って都民を守る」
これが、私が掲げる最大の目玉政策です。
また、東京を安心して住める優しい街にしていきたいとも思っています。具体的には“コミュニティの再生”が必要だと考えております。
現在の東京は、戦前からの地域共同体、いわゆる「隣組」のような組織がどんどん壊されてきた結果、隣に誰が住んでいるかわからず、独り暮らしの老人が孤独死するのも珍しくない状況です。隣の家で何かあったら即座にわかる、そして助け合う街でなければ安心して住めません。映画「ALWAYS 三丁目の夕日」で描かれていたような、向こう三軒両隣が助け合う「故郷・東京」が求められる時代にさしかかっているのではないでしょうか。
具体案としては、地域全体が参加するイベントや行事を積極的に推し進める。このことを自治体がサポートすることがあげられます。例えば、地域の町内会や子供会のお祭りの支援、さびれた商店街の復興などは、これまで地域の主体性に任せてきましたが、今後は自治体もスタッフとして参加するなど連携が取れていけば地域も活性化していきます。
実際、自衛隊に勤務しながら私が経験してきた中で、自衛隊の行事に地元の人が積極的に参加してもらったことで、地域と自衛隊の緊密な関係が構築できたばかりか、地域振興につながっているケースもあります。かねてから私は「古きよき日本の復活」を提唱してきましたが、東京の地域共同体、すなわち町内会、子供会、消防団などの復活が日本再生の処方箋になるのではないかと思っています。