一躍、“全国区の有名人”になった杉本裕太容疑者。その素顔は「不良人生一直線」ではなく、学生時代は真面目なサッカー少年だった。どこで階段を踏み外したのか。逃走犯の荒廃した人生に迫る!
「『地元で有名な不良』という報道を見て、違和感を覚えた同級生は多いです」
こう話すのは、小・中学校で杉本容疑者と同級生だった男性だ。
「スギは全然、不良じゃなくて、中学の時はサッカー部に所属して、真面目に練習に取り組んでいました。背は小さいけど体格はいいから当たり負けしないし、とにかく足が速い。運動会の徒競走では常に上位で、川崎市の大会で学校代表に選ばれるほど。不謹慎ですが、逃走した時に警察の方が振り切られたのをニュースで知った時は、相変わらず韋駄天ぶりは健在だと思いました」
学校生活ではケンカどころか、怒っている姿も見たことがなかったという。
「ヤンチャなところはあったけど、それも授業中に先生の話は聞かず、生徒と話してばかりでよく注意されていたレベルです。それでいて要領がいいので、テストで出そうなポイントはしっかりとノートに取っていて、点数はよかったんです」
事件を起こしていなければ、杉本容疑者は今年、成人式を迎えるはずだった。同級生の女性が語る。
「成人式後に中学の同窓会が開かれました。そこで幹事が『ちょっといろいろあった人もいますが‥‥』と、ネタにしてみんな苦笑いを浮かべていた。彼と仲がよかった男の子も来ていなかったので、『警察の取り調べを受けているのかも』と話題になりました。成人式は一生に一度なのに‥‥」
その一方で、杉本容疑者の実家付近での評判は、同級生たちとは正反対であった。川崎市多摩区で育った杉本容疑者は、祖父の代からこの地に住み、祖父は消防署長を務めたこともある。地元では知られた一家だった。
近所の男性が言う。
「今はもう商売を畳んでしまいましたが、そこにあった生活日用品店で、アイツは万引きの常習犯として知られていた。店主が気づいても逃げ足が速くて、『また杉本のところの息子にやられた』と嘆いていました」
また、近隣の主婦は、杉本容疑者が中学2年の時にこんな“被害”を受けたという。
「庭掃除をしていたら、窓ガラスが割れる音がしました。室内には野球ボールが転がっていて、周辺を探しても誰もいなかったので、警察に通報すると、しばらくして彼(杉本容疑者)が犯人であることがわかったのです。おじいさんが偉かったか何か知らないけど、あそこの親は謝罪にすら来なかったんですよ」
何やら杉本容疑者だけではなく、杉本家と近隣住民の関係もあまり良好ではなかったようなのだ。
別の近隣の男性は、杉本容疑者の父親が近隣住民とモメている様子を何度か見かけている。
「公園で深夜、父親といちばん下の弟が遊んでいたことがあって、真夜中ですからうるさいんですよ。近所の女性が苦情を言うと、父親がすごい剣幕で『ババア、まだ生きていたのか!』とどなったり、父親が近隣の住宅に金属バットを投げ込む姿も見たこともあるぐらいで、あの親に育てられたのだから‥‥ねえ」
この男性は何か言いづらそうな表情を見せるのだった。