「5000万円問題」で袋叩きにあって辞任に追い込まれた猪瀬直樹前都知事(67)に司直の手が迫っている。提供した側が全てを白状してしまったのだ。
「辞任による“逃げ切り”を図った猪瀬氏は、東京地検特捜部に『知事を辞めるから逮捕はしないでくれ』と取り引きを持ちかけたといいます。が、それも聞き入れられない結果となるでしょう」
こう語るのは社会部記者である。猪瀬氏辞任によって、舛添氏や細川氏らによる熾烈な都知事選が繰り広げられるが、その一方で猪瀬氏は、後継者が誰になるのか、などと悠長に眺めていられる心境にはないようだ。何しろ、5000万円を提供した側の徳洲会内部では、猪瀬氏を「見限った」という話で持ちきりだからである。さる徳洲会東京本部の関係者が声を潜めて明かす。
「特捜部の事情聴取を、5000万円を提供した徳田毅衆院議員(42)や、(公職選挙法違反容疑で)逮捕された毅議員の姉ら親族、さらには徳洲会の幹部らが受けましたが、皆、正直に話してしまいました」
「正直に」というのは、疑惑発覚後の猪瀬氏の一連の説明が「正直」ではなかったことを意味するようだ。
最大の疑惑は、あの「借用証」。5000万円も受け取っておきながら、押印も印紙も毅氏のサインもなければ、返済期限やその方法など何一つ記載されていない、誰がどう見てもいいかげんなシロモノだった。徳洲会関係者が、幹部らの供述内容を続けて明かす。
「猪瀬氏が釈明会見で出した借用証は徳洲会にはありませんでした。猪瀬氏があとで作ったもの、つまり偽造です。カネについても、本当は1億円を催促してきたわけですが、半額の5000万円にしてもらった。もちろん、あれは都知事選のための裏金でした。もう特捜部には隠し通せないと判断したんです。隠せばこちらが不利を被るわけですから」
全てを話した毅氏が表舞台に出てこないのは「マスコミなどにしゃべらないように」と特捜部に言われているためで、猪瀬氏サイドへの情報漏れを防ぐ意味もあるのだという。
「ここまで話してしまったからには(猪瀬氏は)もう、個人的な借り入れだった、などという説明で通すことはできないんじゃないでしょうか。あとは特捜部がそれを猪瀬氏にぶつけて、認めるかどうか。近々、事情聴取に踏み切ると聞いています」(別の徳洲会関係者)