「マムシ」と言えば、一介の油売りから下克上で戦国大名にまで上り詰めた斎藤道三の異名。しぶとさを表現する上で、近年の小説の影響から「美濃のマムシ」として世間に認知、呼称されるようになった。
では、日本プロ野球において、「マムシ」というニックネームを持つ選手をご存じだろうか…?
1966年のドラフトで西鉄ライオンズに入団、69年から79年は巨人に籍を置き、「巨人V9時代」の後期を準レギュラー、代打の切り札として支え、「巨人史上最強の五番打者」とも呼ばれた、柳田真宏氏がその人。
その柳田氏が、元プロ野球選手・大久保博元氏のYouTubeチャンネル〈デーブ大久保チャンネル〉の、12月28日付け〈第一話【マムシ】巨人軍史上最強の五番打者登場〉と題した投稿回に出演。V9時代当時、巨人の監督を務めていた川上哲治氏(故人)の夫人の話に触れ、柳田氏はこう振り返っている。
「家庭を守ってる選手の奥さん連中っていうのは、川上監督の奥さんが婦人会で全部集めて食事会やるわけ。そこで見えないとこの努力を聞いてるわけ」
それぞれ選手の努力秘話は、川上夫人から川上監督の耳に…。
「どんなに調子が悪くても、“こいつは練習やってる”っていうのが、必ず…」と、川上監督の耳に入っていることに励みを覚えていたのだとか。
「優勝するためには全員の力を合わせてやっていた」とも振り返った柳田氏。川上監督の全員野球とは、選手、監督コーチ、フロントのみならず、その妻までも巻き込んだ壮大な構想だったことがわかる見ごたえのある回だった。
ちなみに、柳田氏が「マムシ」と呼ばれたのは、タレント・毒蝮三太夫の顔に似ていたことに端を発しているようだが、現役時代の「しぶとさ」は言うまでもないだろう。
(ユーチューブライター・所ひで)