野球マンガというジャンルを確立した水島新司さんが1月10日に逝去した。「ドカベン」「あぶさん」など、数々のヒット作には実名で活躍中のプロ野球選手が登場。一見、荒唐無稽なストーリーにもかかわらずリアリティある設定に誰もが胸躍らせただろう。そしてその裏には、スーパースターたちとの交遊があったというのだ。
たとえば代表作「ドカベン」の場合、、高校卒業で終わるかに思えた明訓高校の面々の群像劇はその後、プロ野球編に突入。
そこで、ドカベンの登場人物と実在のスター選手の夢対決が次々と展開される。今季のプロ野球の話題を独占している日本ハムの新庄剛志新監督を始め、松井秀喜氏、イチローなど、後にメジャーに渡るトップ選手もキャラクターになったが、きっかけはあるスター選手の一言だったという。出版関係者が明かす。
「実は、『ドカベンプロ野球編』がスタートするのは、前作にあたる『大甲子園』終了後から8年間の空白があった。この空白期間も旺盛な取材を続けていた水島さんに当時、西武の主砲だった清原和博氏が『どうしてドカベンはプロに来ないんですか?山田太郎とクリーンアップが組みたいです』と直談判。これを聞いて水島さんはシリーズ再開の着想を得たそうです。それで山田太郎は西武に、メインキャラの一人である岩鬼正美は、御贔屓のダイエーホークスに入団させることに。これにはドカベンファンで知られるイチロー氏からも『オリックスには絶対に殿馬一人を入れて僕と1、2番コンビにしてください』と懇願されたとか」
他にも南海ホークスの大ファンだったことから故・野村克也氏や江夏豊氏との付き合いも公私を越えた間柄だった。さらには、「怪物」江川卓をバックアップしていたこともあったという。
そんな水島さんを巡る数々の「裏エピソード」を紹介した追悼記事は1月25日発売の「週刊アサヒ芸能」2月3日号に掲載されている。