冬の乾燥に欠かせない加湿器。ところが、加湿器内にカビが発生し、「加湿器肺炎」を発症するケースが増えているという。
原因は加湿器の給水タンクやフィルターの中で繁殖したカビやレジオネラ菌などの雑菌。加湿器から出る蒸気とともにエアロゾル(微粒子)となって部屋中に放出され、それを吸い込むことによって肺炎を引き起こしてしまうのだ。
主な症状は発熱、せき、息苦しさなど。治療は軽症の場合、加湿器の使用をやめるだけで自然に改善する。ただし重症の場合は呼吸状態が悪化し、入院が必要になることも。
アレルギー性肺炎の一種である「加湿器肺炎」は、一般の肺炎で使用される抗菌薬は効果がないという説もある。しかし、厚生労働省のホームページによれば、加湿器が原因とされる「レジオネラ肺炎」は、レジオネラ属菌による細菌感染症のため、マクロライド系、ニューキノン系やリファンピシン等の抗菌薬で治療することができると説明している。
最も大切なのは、通常の肺炎と同じように早期発見と早期治療だ。加湿器が原因とみられる、レジオネラ菌による肺炎の発症で亡くなるケースも出ているためだ。
予防で大切なのは、加湿器内のこまめな掃除。特に加湿器内のタンクの水を超音波で細かい粒子にして放出する「超音波式」や、水を含ませたフィルターに風を送って放出する「気化式」の場合は、タンクの水がそのまま微粒子となって室内にまき散らされるので、タンク内のこまめな掃除が必要だ。
水を沸騰させて蒸気を作る「スチーム式」の場合は、カビや細菌が空気中に散布される心配がほとんどないといわれている。
いずれのタイプも、こまめな手入れをし、清潔に使用することが重要となる。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。