暦が変わったとたんに春めいてきた。暖かくなって気分が解放される感じだが、同時に競馬ではクラシックが間近に迫ってきたことが実感される。
今週は、弥生賞ディープインパクト記念が東のメイン。言わずと知れた皐月賞のトライアルレースである(3着馬までに優先出走権が与えられる)。
毎年のことではあるが、頭数はそう多くはない。それだけ各陣営がクラシックを意識して、質の高い馬を出走させてくるからだ。
今年もなかなかの素質馬が名を連ねてきた。
朝日杯FSを制し、3戦土つかずのドウデュースがその筆頭格的な存在で、きさらぎ賞を制したマテンロウレオ、京都2歳S勝ちのジャスティンロック、京成杯2着のロジハービン、そしてジュニアCを勝ったインダストリアなど、将来性を大きく嘱望されている好素材馬が勢ぞろい。
まさに見応え満点の一戦と言ってよく、馬券的にもおもしろいが、人気どおりの決着をみるのかは難しいところだろう。いずれにせよ、ここで勝ち負けできるようならクラシックはもとより、今後のGI戦での活躍は半ば保証付きと言っていいかもしれない。
03年に馬単が導入されて以降の過去19年間、この重賞を制した馬は05年の三冠馬ディープインパクト(GI7勝)を筆頭として、06年アドマイヤムーン(ジャパンCなどGI3勝)、09年ロジユニヴァース(ダービー)、10年ヴィクトワールピサ(皐月賞などGI3勝)、11年サダムパテック(マイルCS)、15年サトノクラウン(宝塚記念などGI2勝)、16年マカヒキ(ダービー)、21年タイトルホルダー(菊花賞)といったように錚々たるもの。それだけに注目せざるをえない重賞なのだ。
よって馬券的には本命サイドの決着をみることが多く、そう大きく荒れることはない。
過去19年間、1番人気馬は9勝(2着3回)、2番人気馬は6勝(2着3回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は5回。今年の顔ぶれを見ても波乱の決着は考えにくいが、それでも穴党としては前述した有力どころを本命視するわけにはいかない。
最も狙ってみたいのは、メイショウゲキリンだ。
まだ1勝クラスの身ではあるが、安定味があり、相手なりに頑張る勝負根性を備えているところがいい。
きさらぎ賞に挑戦した前走は、ハナを奪っていい感じの逃げだったが、直線に入って追い出したとたん、ソラを使って(気を抜いて)ブレーキをかけるシーンが。それでも3着に粘ってみせた。勝ったマテンロウレオとコンマ2秒差なら、初の強敵相手だったことを思うと、大いに評価していいだろう。
昨年8月のデビュー以来、長期の休みを挟むことなく使われ続けてきているが、引き続き順調で、この中間の稽古も軽快でリズミカルだった。
「緩さが消えて、使われるたびに地力強化している。右回りの中山は合うはず」
と、厩舎関係者も調子のよさを強調する。
前走、手綱を取った幸騎手が「力は確か」と能力を評価しており、ここでも善戦以上の期待を寄せていいはずだ。
それに血統(母系)がいい。昨年の年度代表馬に選ばれたエフフォーリア(皐月賞などGI3勝)やアドマイヤムーンほか、一族に活躍馬がズラリといる良血。逃げるだけではなく、抑える競馬もできる自在な脚質で、道悪も問題ない。ここでも勝ち負け可能とニラんでいる。