無論、秘密兵器は野手だけにとどまらない。昨年の防御率リーグ3位で、生命線となる投手陣にも抜かりないのだ。とはいえ、門外漢として領分をわきまえているようで、
「練習試合で打ち込まれた、変則サイドの鈴木健矢(24)にアンダースローでの投球を進言したり、中継ぎエースの堀瑞輝(23)に『笑いながら投げろ』と指示したりはありました。それでも投手についてはわからない領域だと、変な注文をつけることもなく武田勝コーチ(43)と加藤武治コーチ(43)に一任しているようです」(スポーツライター)
2月10日には、阪神の藤川球児特別補佐(41)を臨時コーチに招聘。ドラ1のスター候補ながら燻ぶり続ける4年目の吉田輝星(21)を、約1時間半にわたって徹底指導してもらった。
「角度を付けるフォームと精神面のレクチャーを受けて、直球の質が段違いに向上したといいます。そもそも、吉田がこれまでブレイクできなかったのは、徹底的に鍛える段階だったからです。球団の育成方針により、ファームでは『1~2回の打者6人を直球のみで抑えろ』というような課題を設けて登板してきた。この縛りの影響で、目に見える成績こそ安定しませんでしたが、今や150キロを超える直球とアウトローに140キロ台で落ちる高速フォークは、1軍で十分通用するでしょう」(スコアラー)
先発ローテーションは、表裏の頭となる火曜日、金曜日をエース上沢直之(28)と伊藤大海(24)が担う見込みだ。吉田はどこを任されるか。
「磨かれた直球と“制約解除”で、ローテ入りを果たせば、そこはBIGBOSSの計算が働きます。ファンの目を意識した週末の先発“サンデー輝星”が名物になるかもしれません」(スコアラー)
リリーフ部隊には、パで21年ぶりのカムバック賞を狙う男がスタンバイする。18年に抑え、19年にはセットアッパーとしてフル回転した石川直也(25)である。翌20年に右肘を故障し、同年8月にトミー・ジョン手術を受けてから長きにわたる充電期間に入っていた。
「術後1年半以上が経過してヒジが馴染んできたのか、MAX156キロのストレートが戻りつつあるんです。くしくも昨年の抑えで28セーブを挙げた杉浦稔大(30)が2月中旬に太ももの肉離れで戦線離脱しただけに、190センチ超えの長身右腕のクローザー復帰は“最大の秘密兵器”として待望されている。そのため、故障明けで低かった注目度が増さないように、球団広報が石川の話題を意識的にマスコミから遠ざけているのです。変に張り切らせ、ケガが再発してしまっては元の木阿弥ですからね」(スポーツライター)
マスコミ向けに、花火をブチ上げるばかりではないのである。