日本人には少ないと言われていたが、近年、患者数が増加しているのが「逆流性食道炎」だ。
原因は、食生活の欧米化やピロリ菌感染者の減少が挙げられる。
「逆流性食道炎」は、胃酸が逆流することによって食道に炎症が起きる病気。ピロリ菌がいないと胃酸の分泌が活発になるため、胃酸が逆流する可能性が高くなってしまうのだ。
食後の胸焼け、酸っぱい胃酸が上がってくる、胸が詰まる、膨満感、胃もたれ、喉の違和感(イガイガする・つまり感)、頻繁にゲップが出るなどの症状が、食後2~3時間以内にあったら、この病気の可能性が高い。
高齢者も注意が必要だ。加齢に伴い、胃や食道の蠕動運動の低下や、横隔膜の筋肉が弱くなるからだ。特に、腰が曲がってくると、前かがみになることで腹圧が高まり、胃液の逆流が起こりやすくなる。
症状が気になったら、まずは消化器内科を受診することが大切だ。治療は、一般的に胃酸分泌を抑える内服薬が処方される。
逆流性食道炎そのものは命に関わる病気ではないのであまり心配する必要はないが、怖いのは「食道ガン」を発症するリスクが高まることだ。「逆流性食道炎」の症状のひとつである、喉のつかえや違和感などが「食道ガン」と同じ症状だからだ。定期的な内視鏡検査で正確な診断を受けたほうがいいだろう。
予防策は、食べ過ぎ、早食いはしないこと。高脂肪の食事やアルコール、コーヒー、炭酸飲料の摂取を控えること。熱い食べ物や刺激物は摂取しないこと。そして禁煙などの生活習慣や食生活の見直しが重要となる。野菜など繊維類の摂取、肥満気味の人は体重を減らすことも忘れずに。さらに、食後2~3時間はできるだけ、横にならないようにしたほうがいいだろう。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。