仕事中、急に「ゲップ」が出て困った経験はないだろうか。もし、頻繁に「ゲップ」が出る場合には、何らかの病気が潜んでいる危険がある。
本来、「ゲップ」は、胃の中にたまった空気が食道から逆流することにより起こる生理現象。胃には食べ物を逆流させない食道と胃のつなぎ目に下食道括約筋という筋肉がある。しかし、食べ物の消化・吸収や十二指腸への移動が滞ると胃の内圧が高まり、下食道括約筋が緩み、食道から空気が漏れて「ゲップ」が出るのだ。
過多な「ゲップ」で疑われる病気が「呑気症」「逆流性食道炎」「機能性ディスペプシア」だ。
「呑気症」は、空気嚥下症ともいって、大量の空気を吸い込んでしまうことで、胃や食道、腸に空気がたまり、引き起こされる症状を指す。「ゲップ」だけではなく、腹部の張りが症状として出る場合もある。飲食の際に空気を飲み込む、歯を噛みしめる、ストレスなどの要因によって発症する。
一方、「逆流性食道炎」は、胃の内容物と胃酸が食道の入り口付近まで逆流することで食道に炎症を起こす疾患。ストレスや暴飲暴食、運動不足が原因となる場合が多い。食道の炎症により、ゲップ、胸やけ、胃痛、喉の痛み、咳、声がれ、食欲不振などの症状が出る。
聞き慣れない「機能性ディスペプシア」は、検査で明らかな異常がないにもかかわらず、慢性的なみぞおち辺りの痛みや胃もたれ、異常なほどのゲップなどの症状を現す病気。かつては、慢性胃炎と診断されてきたが、必ずしも胃に炎症があるわけではないという点で区別されるようになった。
その他にも、食道裂孔ヘルニアや胃潰瘍、胃ガン、食道ガンなど重大病の危険もある、頻繁にゲップが出る、胃に違和感がある場合には、内科や消化器内科などを受診するようにしよう。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。