今週から東西ともに舞台を移し、中山では春競馬の開幕を告げる「中山記念」が行われる。近年まれに見る豪華メンバーで、馬券的には難解な一戦だ。一方、阪神の「阪急杯」は、過去4年で【3】【1】【3】【4】着のサンカルロが妙味!
3月に入って中山、阪神に開催が移る。桜花賞、皐月賞へ向けてのクラシックシーズンの本格的な到来である。と同時に、古馬陣の動きも活発化してきた。
中山開催最初の重賞は、4歳上古馬による伝統の一戦、中山記念である。
マイル(安田記念)を目指す馬、長距離(天皇賞)に目を向ける馬も散見できるが、中距離路線を歩む一流どころが今回も顔を連ねてきた。
とにかく顔ぶれがいい。昨年の1、2着ナカヤマナイト、ダイワファルコンを筆頭に、昨秋の天皇賞馬ジャスタウェイ、マイルCS2着ダイワマッジョーレ、桜花賞馬アユサン、皐月賞馬ロゴタイプ、そして目下4連勝と勢いに乗るアルキメデス、AJCCの覇者ヴェルデグリーンと役者がそろっている。まさにファン必見、見応え満点の重賞と言っていいだろう。
人気は、どうだろう。前述した馬に加え、1800メートルが得意なカレンミロティック、香港C2着トウケイヘイローといった有力どころということになるか。いずれにしても、かなり激しいレース、混戦模様になると見てよさそうだ。
難解だが、有力どころはレース間隔が開いただけに生きのいい上がり馬に目をつけてみた。
最も期待を寄せたいのは、エアソミュールだ。目下連勝中で、その勢いを買っての狙いだ。
前走の白富士Sは、強いの一語だった。4カ月ぶりのディセンバーSを勝って臨んだもの。“2走ボケ”の心配もなくはなかったが、蓋を開ければ終始3番手の好位につけ、2着アロマカフェに2馬身の差をつけての完勝だった。
一線級は顔を連ねてはいなかったものの、それまで左回りはどうかと不安視されていた馬だけに、この勝利は価値あるものと見ていいのではないか。
手綱を取る名手・戸崎騎手は「乗りやすく、自在に動ける」と称賛しており、心身ともに、たくましく成長してきたことも強調していい。
当初は気性難があって、調教では動くものの、それが実戦に結び付かないでいた。その難点が解消されたことが、このところの好成績につながったのは間違いあるまい。
「馬体に幅が出て、最近はドッシリと構えている。落ち着きが出たのもプラス」
と、厩舎スタッフが口をそろえるところからして、ここにきての充実ぶりがうかがい知れよう。
ならば、この強敵相手でも初重賞制覇のチャンスは十分あっていい。
マイルから2200メートルまで勝ち鞍がある文字どおりの中距離ランナーだが、最も得意なのは、この1800メートル戦(8勝中4勝)。しかも以前から“右利き”(8勝中7勝が右回り)と言われ続けていた馬。それに、前走から1キロ軽い56キロでの競馬。好走できる条件はそろっている。
ならば期待していい。エアデジャヴー(オークス2着、桜花賞、秋華賞3着)、エアメサイア(秋華賞勝ち)、エアシャカール(最優秀3歳牡馬=皐月賞、菊花賞勝ち)など近親に活躍馬がズラリといる良血だからだ。良馬場条件に大きく狙ってみたい。
連下は前述した有力どころということになるが、中でも厚めに買いたいのがダイワマッジョーレだ。2カ月半ぶりの実戦になるが、ここを目標に乗り込み豊富。1週前の坂路での追い切りも実にリズミカルだった。走りっぷりから道悪は上手。一雨くれば大勢逆転があっていい。
◆アサヒ芸能2/25発売(3/6号)より