今週のメインはヴィクトリアマイルだ。今年で17回目を迎えるまだ新しいGI戦で、4歳上牝馬によるマイル戦。登録馬は22頭を数え、今年もフルゲート(18頭)必至である。
歴史の浅いGI戦だが荒れることが多い。過去16年間で馬単による万馬券は7回(馬連は3回)もあり、1、2番人気馬によるワンツー決着は1回のみ。簡単に人気サイドで決まりにくいGI戦であることは、知っておくべきだろう。
また、牝馬は6歳になると繁殖に上がる馬が多く、年齢的には4、5歳馬が群を抜いている。15年に1度だけ6歳馬同士で決着したが、6歳以上の馬は2勝(2着1回)と、これまで連対を果たしたのはストレイトガール(15年、16年連覇)と、ケイアイエレガントの2頭しかいない。
4、5歳馬の比較では、生きのいい4歳馬が8勝(2着11回)と5歳馬(6勝、2着4回)を圧倒している。今年は4歳馬が5頭出走を予定しており、軽視は禁物だ。
では、顔ぶれを見てみよう。右前脚の故障により約1年ぶりのレースとなる三冠牝馬のデアリングタクトを筆頭として、レイパパレ、ソダシ、レシステンシアのGI馬に、GIで2、3着の好走実績があるソングライン、ファインルージュ、アンドヴァラナウトの4歳勢。さらに前哨戦の阪神牝馬Sの上位組メイショウミモザとデゼル、そして牝馬限定の重賞で2戦続けて連対を果たしているクリノプレミアムなど、とにかく多彩なメンバーだ。
ただ今年はどうだろう。GI馬の実力派が実績どおりの走りを見せてくれるのかどうか。牝馬は消長が激しく最盛期が短いとされており、やや疑いの目を向けてみたいところもある。
ということで、穴党として最も期待を寄せたいのは5歳馬のテルツェットだ。
期待された昨秋のエリザベス女王杯では11着と人気を裏切り、今期初戦となった前走の中山牝馬Sでも5着に敗れた。この2戦でやや評価を下げた格好だが、であるなら穴党としては好都合。実績は有力どころにヒケを取らないからだ。
GIIIとはいえ、1600メートルと1800メートルの重賞を制しており、勝ち鞍6勝のうち4勝をマイル戦であげている。この距離を最も得意としているのは周知のことだろう。
むろん、状態もいい。休み明けの前走を使われ、この中間、大幅な良化ぶりをうかがわせている。ウッドチップコースで行われた1週前追い切りも軽快かつリズミカルだった。
雰囲気のよさに和田調教師は「いい意味で活気が出てきた。それでいて落ち着きがあるのもいい。距離的に融通性はあると思っているが、やはりマイル戦がベスト。しまいを生かす形で、持ち味の鋭い決め手を生かせれば」と、言葉をはずませ、ヤル気をにじませているほどだ。
オークスのほか、海外のGIで3勝をあげた女傑ラヴズオンリーユーなど、近親、一族に活躍馬が多数いる良血。頂点に立つにふさわしい馬であり、よほどの道悪にならないかぎり、大きく狙ってみたい。
穴中の穴として、ローザノワールを狙ってみたい。
勝ち鞍5勝のうち4勝がダート戦ということでダート馬に思われがちだが、近走は芝を使われており、イメージを一新させている。
「年齢とともに落ち着きが増して、折り合い面で進境がうかがえる。使われて状態もアップしており、楽しみは持っている」とは西園調教師の弁。
母系は欧州の一流血脈で“一発”があっていい。