健康増進のためにクローズアップされている睡眠。しかし、「寝つけない」「眠りが浅い」といった睡眠トラブルで悩んでいる人は多い。これら睡眠に関連した病気は総称して「睡眠障害」と呼ばれる。
「睡眠障害」で最も多いのが「不眠障害」だ。これは、健康を維持するために必要な睡眠時間が、質や量的に低下して、日常生活に支障を来す状態を指している。寝つきが悪かったり、中途覚醒や早朝覚醒により、翌日の体調に影響が出るのが特徴だ。
「過眠症」に悩まされる人も多い。夜に十分な睡眠を取っているのに、日中に突然強い眠気が生じて、起きていることが困難になる状態をいう。「過眠症」には、神経物質の働きが原因で起こる「ナルコレプシー」、原因不明の「特発性過眠症」、過眠している時期と症状がない時期を反復する「反復性過眠症」の3つに分類される。
他にも、睡眠中の呼吸が異常になる「睡眠時無呼吸症候群(睡眠呼吸障害)」、昼夜逆転の不規則な生活習慣などで起こる「概日リズム睡眠障害」、睡眠中や入眠時に寝ぼけや寝言、悪夢などが起きる「睡眠時随伴症」、睡眠中や入眠時に歯ぎしりや脚のぴくつき、脚に虫が這うような不快感を覚える「むずむず脚症候群」などがある。
睡眠には、体の不調をリセットして病気を未然に防ぐ役割があるが、このメンテナンス機能は50歳くらいから徐々に衰える傾向がある。うまくリセットできずに、日常の活動に支障を来したり、生活習慣病やうつ病のリスクが高くなる可能性もある。
医療機関の受診の目安は「眠りが浅い」「眠れない」などのトラブルが「週3回発生していて、その状態が1カ月以上続いたら」、医師の診察を受けたほうがいいだろう。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。