舞台の1つはすでに北海道(函館)に移っており、来週の春のグランプリ・宝塚記念をもって上半期の競馬は幕を閉じる。
その大詰めの今週は、3歳馬による重賞、ユニコーンSが東京で行われる。これからのダート界を背負って立つ馬は、いずれか。将来を嘱望される生きのいい素質馬がそろい踏みだが、まだどの馬が能力上位か判断するのは難しいところ。また、毎年フルゲート、またはそれに近い多頭数の争いになるだけに、馬券的にもおもしろい一戦である。
ただ、大きく荒れることは少ない。昨年は異例とも言える大波乱(3連単で79万3400円)だったが、03年に馬単が導入されて以降、これまでの19年間、その馬単による万馬券は4回(馬連は1回)。この間、1、2番人気馬によるワンツー決着は5回あり、比較的順当に収まっている。舞台が紛れの少ない東京のマイル戦ということも関係しているのかもしれない。
今年の出走予定馬は牡馬ばかりだが、牝馬が勝ち負けすることはマレである。出走頭数が少ないこともあるが、過去19年間で1勝(2着2回)のみ。パワーで優る牡馬が優勢とみることもできる。
では、顔ぶれを見てみよう。芝で活躍してきたインダストリア、タイセイディバイン、ティーガーデンの挑戦は可能性を秘めているだけに何とも楽しみで、目下3連勝と勢いに乗るハセドン、そのハセドンと前走の青竜Sで好勝負を演じた3着バトルクライと4着ヴァルツァーシャル、1勝クラスを好タイムで圧勝したジュタロウ、これまた端午Sを勝って3連勝中のリメイクなど、評判馬がズラリと顔をそろえる。
まさに見応え満点のレースで、穴党として最も期待を寄せたいのは、ペイシャエスだ。
前走の青竜Sは5着と人気を裏切る結果となったが、それでも勝ち馬ハセドンとの差はコンマ4秒。よどみない流れの中、2番手を追走し、執拗にマークされる展開だったことを思うと評価されてよく、十分に巻き返していいはずだ。
この中間は順調そのもの。1週前の追い切りは軽快かつリズミカルで、状態のよさは明らかだろう。
小西調教師が「使われつつ体がしっかりしてきた。体調は間違いなく上向きだ」と、仕上がりのよさを強調するほどである。
GI9勝のダート王、エスポワールシチー産駒で、母の父はこれまたダート産駒が多いワイルドラッシュ。母系は欧米の一流血脈でもあり、頂点に立っていい血統馬。良馬場条件に大きく狙いたい。
一方のマーメイドSは、ハンデ戦。ユニコーンSとは好対照で、目下4年連続で馬単万馬券が飛び出しているように、よく荒れる重賞として知られる。
よって2勝クラス、3勝クラスの馬が多く登録してくる。今年も一筋縄では収まるまい。
狙いは、その3勝クラスの馬。抽選で除外される恐れもなくはないが、おもしろいとみているのは、ステイブルアスクだ。
脚元の関係でダートを多く使ってきたが、前走のシドニーT(中京芝2000メートル)で久々に芝に戻したところ、最速の上り脚を使って見せ場たっぷりの5着。敗れはしたが、芝で問題ないところを見せつけた。
そもそも芝で未勝利を勝ち上がった馬。4代母はシャダイカグラ(桜花賞)で、血統的にはむしろ芝向きと言っていい。
前走は少し体に余裕が感じられたが、この中間はさらに良化している。得意の右回りでハンデは恐らく52キロまで。血統的に道悪も上手そうで、晴雨にかかわらず期待したい。