10勝前後は計算できそうな先発5番手争いに、リーグ屈指の層の厚さを誇る。「神さま、そろそろカープに優勝を!」「カープ狂の美学」(いずれも宝島社)などの著書がある、RCC中国放送コメンテーターで作家の迫勝則氏が話す。
「福井優也(26)、今井啓介(26)、篠田純平(28)、中田廉(23)、ルーキー・九里亜蓮(22)と充実。もし先発陣が1人、2人ダメでも、ローテは十分回ります」
さらに注目すべきは、中継ぎ陣の豊富さ。江草仁貴(33)、大竹の人的補償で巨人から加入した一岡竜司(23)、横山竜士(37)、梅津智弘(31)、久本祐一(35)、今村猛(22)、永川勝浩(33)、新外国人フィリップス(27)、守護神・ミコライオ(29)。スポーツライターは、
「カープの考え方は中継ぎというより中抑え。ロングリリーフの概念で、先発が序盤に崩れた試合でも3、4回いける第二先発的な投手を重宝します。この継投で10勝は計算できる」
70~80年代に広島監督として4度リーグ優勝(日本一3回)に導いた名将・古葉竹識氏(77)=現・東京国際大学野球部監督=が語る。
「優勝しようと思うと80勝はしないといけない。投手陣の勝ち星を計算していくと、80勝いける力はあると思う」
先発三本柱+大瀬良の62勝に、5番手と中継ぎが各10勝。合計82勝で、優勝ラインを超える。それでもはたして昨年の巨人との17ゲーム差を逆転するまでに至るのか。そんな不安には、熱狂的カープファンの漫画家・杉作J太郎氏がこう答えた。
「一つの朗報は、今シーズンは巨人との対戦が遅い(開幕4カード目)こと。昨年、開幕カードの巨人戦は勝っているような試合を負けたり引き分けたりしました(2敗1分)。それをずっと引きずっていたと思います。今年は144試合の中の一つと思って平常心で戦えばいい。巨人との戦力差は‥‥ないかもしれない。今年は『まさか』ということはない感じです。やはり優勝でしょう」
一昨年、広島は開幕直後に6連勝し、マエケンがノーヒットノーランを達成。杉作氏は当時の取材で開口一番、「間違いなく優勝しますよ!!」と絶叫したが、今回はなぜか冷静で落ち着いた話しぶりだ。
「これはよくないことだと思うんですけど(笑)、昨年のAクラス入り、CS出場で余裕が出てきた。ゆとりが生まれたんでしょうね。カープにはもともと持っていた『含み資産』のようなものが、他球団とは比較にならないほどあります。それもトレードなどの補強によるものではなく、元来持っていた私有財産。それがブルジョワ並みにあったわけです」