テリー 韓国、中国との関係は、相変わらずギクシャクしてますよね。この両国とは、どうつきあっていけばいいですか。
鈴木 自民党の政権が長い時は、けっこううまくやってましたよね。何かあったら自民党の長老的な人が行って、話し合いの場を作って、少なくとも戦争になるようなことは避けようという知恵がありました。例えば尖閣諸島だって、20年以上も前に右翼の人たちがあそこを何カ月も占拠して、灯台を建てたことがあるんです。今、もしそんなことをしたら、戦争でしょう。
テリー 大騒ぎですね。
鈴木 だから、政府間で調整ができていたんでしょうね。竹島については、ソ連が崩壊する前、愛国党の赤尾敏という人が「竹島の問題と日韓の連帯と、どっちが大事なんだ。それは日韓の連帯のほうが大事だ。だったら竹島なんかダイナマイトで沈めてしまえ」って、右翼の代表者が言ってたんです。
テリー 今じゃ考えられないですね。
鈴木 今だったら「1ミリでも譲るな、戦争も辞さずの覚悟で島を守れ」みたいな感じで、冷静さがまったくないんですよね。だから最近の傾向は、決して「右翼化」ではないんですよ。
テリー なるほど。
鈴木 もともと日本人というのは、非常に寛容な民族だと思うんですよ。
テリー そうですね。
鈴木 それがいつ頃からか、排外主義になってきた。それは左翼にも原因があるんです。日本のやったことは全部悪かった、ソ連、中国だけがすばらしいみたいな。ずいぶんと日本を蔑視するみたいなのがあったと思うんですけど、今は逆に「日本は間違ったことは何にもしてない。あの戦争も全て正しかったんだ」と。
テリー 韓国や中国は、そういった状況を「日本が右傾化してるから気をつけろ」とか「日本への恨みは忘れるな」とか、ある面でプロパガンダにもなっていますよね。
鈴木 今の中国にとっても、韓国にとっても、今の排外的な態度を取る日本は、逆に都合がいいんじゃないですか。
テリー そんな感じですよね。こういった空気の中で、鈴木さんは今後はどんなことをしていくんですか。
鈴木 戦争体験者はどんどん少なくなっていますし、学生運動の体験者もどんどん語らなくなってきてるから、とにかく自分の体験を生かして発言をしていきたいなと思うんです。今でも、右翼とは同席できないとか言われます。まぁ、昔は暴れてましたからね。でも今では、たとえ殴られても、僕は殴り返さないつもりですけどね。
◆テリーからひと言
「右翼」という看板を掲げて、相変わらずものすごくバランスのいい考え方を持つ鈴木さん。2人で一緒に東京の街を探索しに行って、今の政治に活を入れたいね。