同様に、スパイ天国ニッポンをあざ笑っているのが北朝鮮諜報員だろう。政府関係者が悩ましい惨状を明かす。
「日本は北朝鮮の“貯金箱”と化している。ロシア同様に経済制裁によって輸出入や送金は規制されている。ただし、在日朝鮮人が経営しているパチンコ屋や焼き肉店の儲けの一部が、在日統括組織を通じて北に渡っている。また、北朝鮮人民軍の指示役が、中国の遼寧省で中国籍を不正入手して日本に渡るケースもある。正式な中国のパスポートを持つだけに簡単に取り締まれない」
一連の諜報員たちの暗躍に対して、日本の警察もただ手をこまねいているばかりではない。
「目下、『アウトリーチ活動』というスパイについての啓蒙活動が盛んです。各県警の外事課長や所轄の署長が企業や大学に出向いて、過去の摘発事例を踏まえてスパイ対策を促します。その活動の一環で、警視庁公安部のナンバー2にあたる増田美希子参事官が顔出しでメディア出演していることは異例中の異例です。やはり、昨年10月の岸田文雄内閣発足と同時に新設された『経済安全保障担当大臣』の影響で、国の安全保障を重要視した政府の足並みに合わせた動きでしょう」(勝丸氏)
しかしながら、世界の流れは真逆の様相を呈しているようで‥‥。
「日本に先立ってアメリカ政府が、18年より中国政府のスパイを取り締まる『チャイナ・イニシアチブ』というFBI内のチームを立ち上げました。というのも、発足当時、大学生や研究員のフリをして技術流出を企てる中国人留学生が目に余る状況でした。主な活動は各スパイ犯の摘発と啓蒙活動になります。ところが、スパイを逮捕しても証拠を掴めないケースがしばしばで、人権団体や学術界からは『偏見を助長する』と批判の声が飛び交う始末。ついに、今年の2月に終了してしまいました」(山田氏)
先人の失敗を生かすことはできるのか。日本のインテリジェンスの真価が問われている。