水谷豊主演で00年にスタート後、今年10月でシーズン21を迎え、現在もなお安定した視聴率をキープする刑事ドラマが「相棒」(テレビ朝日系)である。その水谷がキャンディーズの「ランちゃん」こと伊藤蘭と結婚したのは、89年1月だった。
2人は82年のドラマ「あんちゃん」(日本テレビ系)で共演。当時、水谷には米女優の妻、ミッキー・マッケンジーがいたが、結婚半年で別居状態になり、85年5月に離婚が成立。その後、水谷と伊藤は都内のマンションで同棲生活をスタートした。
芸能マスコミは「いよいよ結婚」と囃し立てたが、2人の周辺から結婚話が聞こえぬまま、7年の歳月が流れた。
と、そんな2人に動きがあったのが、88年の暮れである。伊藤の仕事仲間であるテレビ関係者から、彼女の誕生日である89年の1月13日に入籍し、その前後に挙式する、との情報が飛び込んできたのである。
さっそく、都内にある式場をしらみつぶしに探すも、該当する場所はない。そこで、当時流行っていた海外挙式もあるのではと、調査範囲をハワイとグアム、サイパンの3カ所に広げ、来る日も来る日も航空会社に電話して、飛行機の予約者名簿を調べることに。
それがビンゴだった。1月19日に、伊藤が家族とハワイ入りすることがわかったのだ。ただ、その時点で予約者名簿に水谷の名前はない。当日、成田空港で確認するも、水谷の姿は確認できず、結局、編集部としては、ハワイ入りを断念することになった。
ところが翌日、水谷は母親と極秘裏にハワイ入りし、伊藤家と合流。その情報が一部マスコミに漏れたことで、民放各局は現地コーディネーターとクルーを使い、宿泊先や式場を割り出す騒ぎに。
すると水谷が当日になって、式場をキャンセル。宿泊先ホテルからも姿を消すなど、刑事ドラマさながら、なんともスペクタクルな展開となったのである。
だが当時の芸能マスコミは、本当にしつこかった。結局、2人がホノルル市内のサーストン教会で21日に挙式したことを突き止めると、24日、2人がハレクラニ・ホテルで記者会見に臨むことになったのだ。
「式の間、僕はあんまり冷静じゃなくて、彼女のウェディング姿もよく見れなかったんです」
と照れる水谷の横で伊藤は、
「私も緊張しました。だって、リハーサルなしで、いきなり本番だったんですから」
これには報道陣も大爆笑だ。プロポーズは前年11月だったが、伊藤は水谷にある要求をしたといい、
「ひとつだけ条件がある、と言われて。『式の時には、1回目と同じ服は着ないで下さい』と(笑)。僕は何でも大げさに考えてしまうんですが、彼女はあまり大げさじゃない。そういうところに魅かれました」
さらに、「ランちゃんサン」と呼んでいるというエピソードも明かしたが、最愛の相棒を得てご満悦な2人だった。
(山川敦司)
1962年生まれ。テレビ制作会社を経て「女性自身」記者に。その後「週刊女性」「女性セブン」記者を経てフリーランスに。芸能、事件、皇室等、これまで8000以上の記者会見を取材した。「東方神起の涙」「ユノの流儀」(共にイースト・プレス)「幸せのきずな」(リーブル出版)ほか、著書多数。