テリー 世界への挑戦権ということで、ジムも相当、いろんな負担があったと思うんですけど。タイトルマッチって、挑戦側はどのぐらいお金がかかるものなんですか。
河野 例えば僕が大みそかにやった試合は、もう2000万ぐらい、ファイトマネーでかかります。
テリー 相手に渡すお金が。
河野 はい。だから、スポンサーがいないとできないですね。
テリー じゃあワタナベジムの会長は、スポンサー探しをしたんだ。
河野 そうですね。スポンサーを探したり、自分でいろいろお金集めたりだとか、会長もすごく重圧があったと思うんです。
テリー 例えば2000万円、相手にファイトマネーで渡しますよね。挑戦者はいくらぐらいもらえるものなんだろう。
河野 僕ですか? 100万もなかったような気がするんですけど。
テリー ああ、チャンピオンじゃないからね、挑戦者だから。
河野 はい。それぐらい経費がかかる世界ではありますね。
テリー なるほど‥‥。そういえば26日の試合には、亀田興毅選手が見に来ていましたね。
河野 ああ、はい。
テリー 試合前に、彼がいたことはすでに知っていたんですか。
河野 いや、全然わからなかったですね。「ゴングの前に来たよ」と、あとから聞いたんですが。試合後に実況席に行ったら「あれっ、亀田選手がいる」と思って。
テリー 話をした?
河野 いや、話は一切していないです。
テリー これまでに、亀田選手と話したことは?
河野 ないですね。
テリー あ、そうなんだ。チャンピオンから見て、亀田選手というのはどんな印象があるんですか。
河野 「すごく練習してるな」と思いますね。ドキュメンタリーを見ると、小さな頃からボクシングをやっていますよね。興毅選手とは関わりがないんですが、大毅選手とは、亀田ジムへ行ってスパーリングをさせてもらったことがあります。
テリー どんな印象を持ってるの?
河野 世間一般の人が言っていることとは違って「強いな」と思いました。同じ階級ぐらいのスパーリングした選手に聞いても「あいつは強いぞ」と。彼も世界チャンピオンですから、それは当たり前なんですけど。
テリー 興毅選手って人間的にもすごくいいですよ。
河野 まあ、僕の中では彼はスター選手です。ただ、ふだんの自分自身じゃいられない世界にいるというか、周囲に作り上げられた部分もあって「ちょっとかわいそうだな」と感じるところも正直あるんですけど。でもボクサー同士って、同じ階級だと戦う可能性があるので、あまり仲よくならないようにしてるんです。情が湧くと戦いにくくなるので。
テリー そりゃそうだね。
河野 興毅選手は20歳ぐらいから世界チャンピオンになって、何をやっても世間に言われてしまったりする時期もありましたけど、そういう状況の中で培ってきた精神力はすごいなと思いますね。
テリー 興毅選手は「(河野選手に)勝つ自信は1000%。向こうに俺とやる勇気があるかどうかだ」と発言してますよね。戦う用意というのは、どうなんですか。
河野 僕はチャンピオンになるために、ジムに大きな負担をかけているので、決めてもらった選手は誰とでもやります。