「4月20日の対中日戦(東京ドーム)で伏兵の巨人・橋本到がバックスクリーンに本塁打を打ちましたが、プロ野球が開幕してから早1カ月、その間にこんなシーンを何度見たことか。『明らかに今年のボールは昨年より飛ぶ』というのが現場の記者たちの見解でした」(巨人番記者)
統一球の反発係数が規定の上限値を超えていた、いわゆる飛びすぎる統一球問題。4月14日にボールを製造していたミズノは、日本野球機構(NPB)の12球団の代表者による臨時理事会で謝罪した。
「素材の乾燥が一因として考えられますが、根本的な原因については現在も究明中の状況です。具体的な時期は申し上げられませんが、判明次第、アナウンスさせていただきます」(ミズノ広報担当)
と、いまだ結論に至っていないのが現状だ。
昨季も統一球が秘密裏に飛びやすく変更されていた問題が発覚し、前コミッショナーの加藤良三氏が辞任。その後を引き継いだ熊崎勝彦コミッショナーは、昨年12月の就任会見で「組織体制を強化したい」と力強く語ったが、またしても失態を演じることとなった。統一球問題を取材するスポーツ紙記者は、「NPBの危機管理の低さ、甘さが招いたもの」と厳しく批判する。
「本来なら、NPBが最終チェックを行うべき。けれども、NPBは明確な測定方法のガイドラインを設けておらず、ボールの製造から測定までミズノに丸投げ。プロ野球を統括するNPBの何ともお粗末な体制が招いた結果です。これがテレビや新聞で大々的に報じられると、大混乱になるため結論を先延ばして、釈明の準備を行っている」(スポーツ紙記者)
今回の騒動を受けて、楽天イーグルスの星野仙一監督は、
「記者たちを前に『再犯やぞ。これが一般の企業なら重大な不祥事として取り上げられ、トップは責任を取って即効クビ。何があっても潰れないってことに胡座をかいているんや。お前らももっと叩かんかい』と激昂していました」(楽天球団関係者)
また巨人の原辰徳監督も、「表向きには『我々はコミッショナーが出したボールで戦うしかない』と述べたが、オフレコの場で『やっている選手からすると気の毒だよね』と呆れ顔の表情を浮かべていました」(前出・巨人番記者)
プロ野球誕生80周年を迎えたメモリアルイヤーにNPBと現場、ファンの溝はますます深まるばかりのようだ‥‥。