今年11月に開幕するサッカーW杯カタール大会を目前に控え、日本代表の背番号10を背負う南野拓実が代表落選の危機に追い込まれている。
欧州5大リーグのひとつ、イングランド・プレミアリーグのリバプールから鳴り物入りでフランス・リーグアンのASモナコに移籍したのが、今年の6月。移籍金は総額1800万ユーロ(約26億円)と低くはない金額だった。
プレミアリーグは、チームとしての戦術を重視しているのが特徴。優勝争いに絡んでくるリバプールでは、各国代表の中心選手が多かったため、南野はゴール前にいれば、お膳立てされてゴールを決めることができた。
一方のリーグアンは、1対1の勝負強さや個の力で局面を打開していく「個の最高峰のリーグ」。周りとのコンビネーションで得点を重ねていくプレースタイルの南野にとっては、ハナから厳しいリーグなのだ。
それを裏付けるように、これまでリーグ戦6試合で先発出場なし、途中出場3試合で無得点。唯一結果を残した8月31日のトロワ戦で、コーナーキックからゴールをアシストするも、ハーフタイムでの屈辱的な交代。結果も2対4の逆転負けを喫した。
ボールロストも多く、現地ファンからは「苦戦するモナコの象徴」「ガッカリさせられた」「透明人間」など散々だ。日本よりもサッカー熱が高い海外では、当たり前といえば当たり前の意見だろう。
そんな南野の現状に危機感を募らせているのが、日本サッカー協会だ。背番号10は、日本代表のオフィシャルサプライヤーであるアディダスと個人契約している選手の中から、アディダスと電通が最終的に決定する、というのが暗黙のルール。つまり、スポンサー枠なのだ。サッカー協会関係者が嘆息する。
「自国開催だった02年の日韓W杯で当時、背番号10で『広告塔』となっていたのが、絶対的ファンタジスタの中村俊輔。しかし所属チーム、日本代表でも調子が上がらず、サプライズのメンバー外だった。ビジネス的に失敗したアディダス日本法人社長の更迭が噂されたのは有名な話です」
現日本代表の「広告塔」になっている南野がこのまま調子を戻すことができなければ、02年の悪夢が再現されるかもしれない。