では、大和の1番はどうか。2番打者として生きるために、キャンプから「つなぎの打撃」を徹底して磨いてきましたが、突破口を開く1番の役割はまだ荷が重いのです。5日の試合では2年ぶりに二塁で起用しましたが、これも大きな負担となるのは間違いありません。
ここは付け焼き刃の対応ではなく、覚悟を持って1番打者を固定する必要があります。5日には二軍から柴田が昇格しましたが、伊藤隼や緒方も1番候補として控えています。特に伊藤隼は下半身を意識したレベル回転のスイングが身につき、非常にいい状態です。タイミング的には、今こそ一軍で使うべきだと思うのです。
上本の戦線離脱は、守備の面で重視されるセンターラインが大きく揺らぐ危機なのです。捕手、二塁、遊撃、中堅で形成するセンターラインは、打線に例えるとクリーンアップと同じです。ここが安定しないことには、守備全体が締まらないのです。
ここまで好調な打線の陰に隠れていましたが、もともと正捕手不在という開幕からの懸案事項も抱えていました。藤井が右足甲を痛め、4月26日に登録抹消。現在、一軍捕手は鶴岡、清水、梅野の体制で、鶴岡が正捕手的な存在です。強気のリードで投手陣に刺激を与えていますが、大胆なリードは反面、手痛い一発を浴びる可能性もあります。それだけに、試合終盤にはより細心の注意を払う必要があるのです。
そこで、捕手登録9人の中からキャンプ、オープン戦を勝ち抜きながら、先発2試合で二軍落ちした清水にももう一度、チャンスを与えてもいいのではないでしょうか。
チームの波が好調なうちは、日替わりマスクでもかまいません。問題はチーム状態が悪い時です。例えば、中日の谷繁などは、捨て試合を作ってでも、3連戦3連敗を阻止するリードをします。負け試合の中で、次回につながるリードができるのです。
レギュラーが保証されていない捕手は、目の前の試合のことしか考えられません。長丁場のペナントレース、さらにその先のポストシーズンの戦いを見据えると、チームの命運を託せる正捕手を固定したほうがいいのです。
4月29日の試合からは、反発係数がオーバーしていた違反球から、適合球に変わりました。統一球の反発係数が下がることによって、打球の速さ、飛距離は物理上、必ず変化しているはずです。当然、投手戦の割合も増え、バッテリーの力がクローズアップされるようになるのは間違いありません。その意味でも、まずセンターラインを安定させることが、優勝争いをするうえでのポイントとなりそうです。
(数字は全て5月6日現在)