GI戦が続く中、今週は三冠最後の関門、菊花賞がメインとして行われる。
京都競馬場の改築・改修による阪神での代替も今年で最後。来年からは再び京都での開催となるが、伝統ある一戦であり、今では世界でもマレな長距離芝3000メートルのGI戦だ。
その意味では日本のお家芸と言ってもよく、スピードが評価されるサラブレッド競走馬において、スタミナの有無が問われる数少ないビッグレースである。
よって、中長距離戦までなら圧倒的強さを誇っていた馬が敗れるケースがしばしば見られ、その意味でも興味は尽きない。今年もどんなドラマが待っているのか、楽しみだ。
三冠最後の関門と前述したが、皐月賞馬ジオグリフ、ダービー馬ドウデュースの顔はない。ならば、より不透明さが増すというもので、どんなレース展開になるのか読みづらく、馬券的にもなかなかおもしろい一戦と言っていい。
実際、よく荒れる波乱含みのGI戦として知られる。長丁場を経験した馬がいないか、少ないということで未知数な部分が多いからだが、過去のデータを見ても一筋縄では収まらないことがわかる。
02年に馬単が導入されて以降、これまでの20年間、その馬単による万馬券は7回(馬連は4回)。この間、1番人気馬は8勝(2着1回)をあげているが、2番人気で勝った馬はおらず、2着が4回。1、2番人気馬によるワンツー決着はたった1回のみだ。
ということで、本命党向きのGI戦とは言い難いが、まずは有力どころの名を挙げてみよう。
トライアルの神戸新聞杯を完勝したジャスティンパレス、同じくトライアルのセントライト記念勝ちのガイアフォースを筆頭に、ダービー3着、セントライト記念僅差2着のアスクビクターモア、ラジオNIKKEI賞を制し、新潟記念3着のフェーングロッテン、神戸新聞杯2、3着馬のヤマニンゼスト、ボルドグフーシュ、さらにはヴェローナシチー、プラダリアといった面々だろう。
しかし、どの馬も決定打を欠く印象をぬぐえない。やはり、ひと波乱あり。ここは穴党の出番である。
最も期待を寄せてみたいのは、セイウンハーデスだ。前走のセントライト記念は7番人気で4着。終始2番手につけての競馬で、追い出してから最後に失速してしまったもの。が、休み明けで仕上がり途上だったことを思うと、人気以上に走ったことは、よく頑張ったと評価すべきだ。
キャリアは7戦と浅く、低い人気ながら毎日杯4着、ダービートライアルのプリンシパルSを勝ったほどで、秘めた力は十分。毎日杯の前走こぶし賞(1勝クラス)では、のちにオークス2着、紫苑Sを制したスタニングローズのアタマ差2着に好走していることも力の証明と言っていい。
「(休み明けを)ひと叩きしてグンと良化した。馬体に張りが出て、稽古での動きも俄然、素軽くなっている」
と厩舎スタッフが口をそろえるように、この中間は大幅な良化ぶりを見せている。
「春に比べ、たくましくなって成長を感じる」
と、橋口調教師も目を細めるほどだ。
近親にこれといった活躍馬はいないが、女傑トサモアーの血を引く日本の名門フロリースカップ系の出で、母の父がマンハッタンカフェ(菊花賞、天皇賞・春)、そして祖母の父がエリシオ(凱旋門賞などGI5勝)であることからスタミナは満点。
長丁場はドンと来いのクチと思えるだけに、大きく狙ってみたい。