過去に類を見ない北朝鮮のミサイル実験。挙げ句の果てには5年ぶりの核実験をチラつかせ、東アジア周辺の警戒感を煽るばかりだ。一方、この暴走の裏では、ニッポンの闇社会から飯のタネを仕入れる算段がついたと、大喜びしているとの声が聞こえてくる。日朝に見え隠れする「悪の回路」を追跡すると──。
日本近海の危険アラートが鳴りやまない。22年に北朝鮮が実施した「弾道ミサイル発射実験」は、10月14日時点で27回目を記録。船舶や航空機への直接的な被害こそ確認されていないが、東アジア周辺国には緊迫した状況が続いている。
国際ジャーナリストの山田敏弘氏が解説する。
「21年に北朝鮮の党大会で示された『国防5カ年計画』が影響しています。大陸間弾道ミサイルや核兵器の開発を進めて軍事力を強化する施策で、現状、ミサイル実験の成功が続いているのでプラン通りに進んでいると考えられます。加えて、3月に就任した韓国の尹錫悦大統領(61)の影響も無視できません。前任の文在寅大統領(69)は、超左翼政権と揶揄されるほど北朝鮮に融和的なスタンスでした。コロナ禍とはいえ、北を刺激させまいと、米国との軍事演習の規模を縮小する方針を崩しませんでしたからね」
一転して尹政権は、9月26日から4日間の日程で北朝鮮の軍事挑発を想定した米韓合同軍事演習を実施。米軍の原子力空母「ロナルド・レーガン」や韓国軍のイージス艦など20隻以上の艦艇が集結した。さらに続く30日には、17年以来となる日米韓3カ国の共同訓練を実行。案の定、一連の軍事演習に対する意趣返しが待ち受けていた。軍事アナリストが続ける。
「9月25日から10月13日までのわずか3週間弱で、8回もの『弾道ミサイル発射実験』が繰り返されている。しかも今月4日には、過去最長の飛距離4600キロを記録する弾道ミサイルが日本上空を通過。米軍基地のあるグアムまで届く射程を誇示して、日米韓の結束を牽制するメッセージが込められています」
12日、巡航ミサイルの試験発射を視察した金正恩総書記(38)が「敵に再び送る明白な警告だ」と宣言。際限なくエスカレートする軍事的示威活動の果てには、17年以来7度目の核実験も秒読み段階に入っている。
「長く続く経済制裁が効いており、そのため米国のバイデン大統領(79)と交渉のテーブルに早く着きたいと考えているはず。北朝鮮の開発した兵器の技術力を見せつけて、国同士の緊張を高めて譲歩を引き出す『瀬戸際外交』の算段です。中でも、核実験は最も効果的なカードになる。Xデーはそう遠くないでしょう」(山田氏)
もはや、不安定な国際情勢にゴールは見えない。しかしながら、どんなに悲劇的な大惨事においても“火事場泥棒”は存在する。北朝鮮の暴走のウラで、ニッポンの不届き者たちがホクホク顔でニヤついていたのである。