ちなみに、一度、大陸を経由してしまえば原産国は不詳になる。
「例えば、北朝鮮から中国に渡ったシャブがマレーシアを経由して日本に渡ったとするわな。その場合、マレーシア産になる。経由した国ごと、“混ぜもの”の配合や梱包事情は千差万別や。宮崎県で生まれた仔牛が、松阪牛や神戸牛みたいなブランド牛に化けさせられるんと近いニュアンスやな。俺らに化学の力があれば、成分ごとに厳密な産地を分類できるかもしれんけど、そんな技術も手間もないから判断つかんわ。ちなみに、マレーシア産の特徴は魚くさいのが多いぐらいやわ」(X氏)
つまり、上モノが入ってくる数が増えるとは限らない一方で、知らず知らずのうち、日本を食い物にする北朝鮮の外貨稼ぎがはびこっていくようなのだ。
時には別の品物にカモフラージュされることもしばしばあるという。
違法薬物事情に詳しい、別のアウトロー関係者が語る。
「北に次いで日本に流れてくるメキシコ産は、酒に溶かして運ばれてくるな。鍋なんかで炊いて、結晶に戻して売るんだ。トルコを経由したパターンだと、木炭やサンダルに練り込ませたケースもあったな。とにかく、最近の梱包状態は巧妙化してるよ」
一方、大量仕入ればかりではリスクも大きく、物流の主流になるのはあくまで“人海戦術”らしい。
「ここで大活躍するのはオンナだよ。ポリ袋に小分けしたシャブをコンドームに包んで、アソコに突っ込むわけだ。リモコンバイブを入れるのと同じ要領(笑)。1人あたり100グラムだとしても10人集まれば1キロになるわな。赤ん坊がいれば抱っこ紐の中に仕込むのもひとつのやり方だよ。さすがに税関も赤ん坊をダシにしてまで密輸するとは考えないだろうよ」(アウトロー関係者)
どれだけ駆逐されても、闇商人は必ず蘇ってくる。ミサイルの雨が降り続く中、日朝の極悪タッグは水面下でがっちりと手を結び合っているのだ。