北朝鮮が5月31日から6月11日の間に「衛星ロケット」を打ち上げると表明した。松野博一官房長官は「ロケット」が「南西諸島を含め、我が国の領域を通過する可能性はある」としており、政府は「人工衛星」と称する弾道ミサイルと明言して、国民に警戒を呼びかけている。とはいえ、北朝鮮が飛ばすものだから、どこに飛んで来るのかかがわからない。
毎度毎度、鳴ったところでどうしようもないと言われる「Jアラート」。もし鳴ったらどうすればいいのか。内閣官房「国民保護ポータルサイト」や東京都、福岡県のウェブサイトでは「頑丈な建物」や「地下街」に逃げ込むよう呼びかけている。会社や自宅、学校にいる場合は窓のない部屋へ避難、あるいは窓から離れ、机の下などに潜り込む。ミサイルがたとえ近くに落下しなくても、着弾の風圧により窓ガラスが割れる危険があるからだ。
これはミサイルだけでなく、不気味な地震活動が続く伊豆諸島の噴火や、富士山の噴火にも応用できる。1986年の伊豆大島・三原山噴火では噴火の威力によって、湘南の住宅街や学校で窓ガラスが割れ、300キロ離れた栃木県でも窓ガラスが震える「空振」が確認された。
広島の原爆被害を扱った漫画「はだしのゲン」に、原爆の風圧で全身にガラスが刺さった犠牲者が描かれていたことを思い出してほしい。
「うちの町には地下街や頑丈な建物なんてない」という人は川の土手、コンクリート製の橋の下に隠れる。前述したように、大事なのは「ミサイル着弾の風圧」から身を守る場所を探すことだ。
コロナ5類になってマスクを持ち歩かなくなった人も、この機会に1枚、マスクをカバンに入れておいた方がいい。万が一、都市部に落ちた時の粉塵予防であり、核物質や生物兵器を吸い込まないためだが、それ以外にも富士山が噴火した場合、富士山の火山灰は尖ったガラス質でできているので、吸い込むと気管支や肺がやられる。
ミサイルも地震も噴火も何も起きないのが一番だが、心構えだけはしておこう。
(那須優子/医療ジャーナリスト)