今週は牝馬クラシック第2弾「オークス」が東京で行われる。断然の支持を集めるのが桜花賞で最後方から直線一気を決めたハープスター。秋には凱旋門賞への挑戦も視野に入っており、馬券的には“2着探し”が正解か!?
桜花賞を期待どおりに勝ったハープスターが絶対視されている。クビ差惜敗したレッドリヴェールがかなわないと見たのかどうか。牡馬相手のダービーにホコ先を変えている。ならば“樫の女王”は、この女傑で決まり。馬券的には2着探しの一戦と見られているのが今年のオークスだ。
なるほど、ハープスターは強い。人の世を反映してか女性軍がやたらと強い。一昔前は「女傑」が出現するのは10年に1頭だったが、近年はダイワスカーレット、ウオッカ、ブエナビスタ、ジェンティルドンナ‥‥と牡馬勝りの女傑がやたら多い。しかも、最後方から一気の差し脚を決めて桜花賞を制したハープスターは、歴史に名を残すこうした姉御肌の名牝をも上回る強い牝馬という評価さえすでにあるほどだ。
戦歴を振り返ってみるとうなずけるだけのことはある。混戦と言われているダービーへは、レッドリヴェールより、むしろハープスターに挑戦してもらいたかった。であるからこそ、2着探しと言いたくもなるのだが、よく顔ぶれを見ると、隙あらば足をすくってみせる──というような馬がやたら多いことにも気づく。
ハープスターが唯一負けたのは阪神JF。3カ月半ぶりの実戦であったが、レッドリヴェールに敗れて2着。3着フォーエバーモアともわずかクビ差だった。その後また一息入れて再調整。続くチューリップ賞を完勝し、本番の桜花賞は最速の上がり脚で差し切り勝ちを演じてみせた。しかし、3番人気で8着に沈んだフォーエバーモアとの差はコンマ6秒。5着レーヴデトワールとはコンマ3秒差。そして3着ヌーヴォレコルトとは、わずかコンマ1秒差だった。
この事実は冷静に受け止めるべきではないだろうか。阪神JFにしても桜花賞にしても、ライバルたちは、ハープスターという女傑と間違いなく接戦しているのである。
広くて直線の長い東京コースに舞台は移る。距離も2400メートルに延びる。ハープスターにとってさらに持ち味が生きるように見られるが、はたしてそうなるかどうか。これまでの大舞台が接戦になったことを思えば、まだ予断は許されまい。
穴党としてもハープスターの強さは百も承知。しかしつけいる隙あり、とにらんで断じて本命視するわけにはいかない。女傑の“鬼脚”を封じる馬は必ずいる。期待したいのは、ヌーヴォレコルトだ。
同じ休み明けだったチューリップ賞では、ハープスターに完敗したが、きっちりと2着を確保。関西へ初輸送だったことを思うと大健闘、高く評価していいのではないか。本番の桜花賞(3着)では、追い出してから内にモタれる場面もあり、狭い馬群を縫うハメに。地力が優れていればこそだ。
今度は関東圏での競馬。むろんのこと桜花賞後は、ここ一本に備え、短期放牧でリフレッシュさせてからじっくりと調整してきた。
思惑どおりの仕上がりに斎藤調教師は、
「馬体が一回り大きくなり、たくましくなっている。それでいて重め感はない。すこぶる順調です」
と状態のよさを強調。そのうえで「左回りはスムーズ。前々で立ち回れるのはプラスでしょう」と、ヤル気をうかがわす。
なるほど、直線一気型のハープスターと違って自在に動けるのは強みだ。ハーツクライ産駒で距離延長も歓迎。ハーフウェイトゥヘヴン(GI愛1000ギニー)など近親に活躍馬が多数いる良血。大勢逆転があっていい力量馬だ。
◆アサヒ芸能5/20発売(5/29号)より