今週は牝馬クラシック第1弾「桜花賞」が阪神で行われる。注目は「世代最強」との呼び声も高いハープスター。阪神JFではレッドリヴェールにハナ差及ばず、2歳女王の座を奪われたが、ここは負けるわけにはいかない!?
圧倒的支持を得て1番人気になるであろうハープスターが絶対視される今回の桜花賞。なるほど、実績と、トライアル・チューリップ賞の完勝劇を見せつけられては、2着馬探しが馬券の焦点と言われてもうなずけるところだ。
新潟2歳Sでは牡馬勢を一蹴、次週の皐月賞で有力候補の1頭と見られるイスラボニータを子供扱いにしている。とにかく、この馬の強烈な末脚は驚異的である。
しかし2歳牝馬の総決算である阪神JFでは、先に抜け出したレッドリヴェールを捉えることができず、ハナ差で2着だった。これにクビ差及ばなかった3着フォーエバーモアを加える「3強」という見方もあるが、印象度という点ではハープスターが断然だろう。
阪神JFは3カ月半ぶりの実戦で完調とは言えず、それでエンジンのかかりが鈍ったという指摘もある。ならば、われら穴党とて2着馬をあぶり出すことに集中すべきなのだろうか。
しかしケチをつけるわけではないが、この最有力候補に対して一つ気になることがある。チューリップ賞も3カ月ぶりの実戦だったが、きっちり仕上がっていた。ムダ肉ひとつなく、これは私だけそう見えたのかもしれないが、デビュー以来、パドック(下見所)での姿が最もよかった。だから今回、これ以上良化するのだろうか、という疑問がどうしても脳裏をよぎるのだ。「体重が大きく減るのでは」「“2走ボケ”はないか」の不安である。
桜花賞は本命サイドで決まる公算が圧倒的に強く(過去10年で馬単万馬券は1回のみ。1番人気3勝、2着4回。2番人気3勝、2着2回)、ディープインパクト産駒が強いのも特筆もの(目下3年連続でディープの子が勝っており、一昨年、昨年はワンツー)。さらには、松田博厩舎は桜花賞に縁が深い(ブエナビスタ、マルセリーナで勝ち、ベガで2着など)。データもハープスターを後押しするが‥‥。
しかし、気になる点がある以上、穴党は、やはりはすに構えてみたい。
この女傑候補の足をすくうのは、同じく末脚自慢の馬と見ている。なぜならニホンピロアンバーを筆頭として、逃げ・先行脚質馬が今回は多いからだ。そうでなくとも桜花賞は、ペースが総じて速くなる。であるなら差し・追い込み馬に注目だ。
中でも期待を寄せてみたいのは、アドマイヤビジンだ。とにかくもまれ強く、勝負根性があるのがいい。
前走のフィリーズレビューを振り返ってみよう。直線を向いた際、外に振られる不利を被ったが、それでも勝ち馬にコンマ3秒差まで詰め寄ってみせた。逃げ馬が2着だったことを思えば、上々の内容と言っていい。フルゲートの最外枠(16頭立て)だったのだからなおさらだ。
人気のヌーヴォレコルト、ベルカントと差のない競馬を何度かしていることから、能力が高いことも明らか。要は持ち味が生きる展開になるかだが、今回は前述したように流れが向くと見ている。
むろんのこと、状態もいい。1週前の追い切りも軽快かつリズミカルで、梅田智調教師はじめ厩舎関係者は「好気配で、最高のデキで臨めそう」と言葉を弾ませる。
GIエリザベス女王杯を勝ったミヤマポピーが曾祖母で、タマモクロス(天皇賞春・秋、宝塚記念=GI3勝)が近親にいる良血。道悪も問題なく、晴雨にかかわらず大きく狙ってみたい。
連は、この馬からハープスター、ヌーヴォレコルトを厚めに手広く流したい。
◆アサヒ芸能4/8発売(4/17号)より