小休止していたGI戦は、暮れのホープフルSまで8レースが引きも切らずに行われる。
今週、阪神で行われる3歳以上の牝馬同士によるエリザベス女王杯は、先の秋華賞で1、2着したスタニングローズとナミュールを筆頭とした3歳勢が、昨年の覇者アカイイト、ウインマリリン、ジェラルディーナ、三冠牝馬のデアリングタクトといった錚々たる古馬勢にどう挑むかが見どころ。地力が勝るか、勢いが上回るか。とにかく目を離せない一戦だ。
馬券的にも実におもしろい競馬と言ってよさそうだが、各馬の比較、能力を吟味する前に、まずは過去のデータを見てみよう。
02年に馬単が導入されて以降、これまでの20年間、その馬単による万馬券は6回(馬連では3回)。この間、1番人気馬は4勝(2着4回)、2番人気馬も同じく4勝(2着5回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は3回あるが、2回に1回は下馬評どおりに決まっておらず、いわば中穴傾向のGI戦と捉えてよさそうだ。
背負う斤量は3歳が54キロ、4歳以上が56キロだが、過去20年で3歳馬が8勝(2着6回)、4歳馬も同等で9勝(2着6回)。5歳馬は少し見劣りして3勝(2着6回)、6歳以上では勝ち馬がおらず、6歳馬の2着が2回のみだ。
牝馬は消長が激しく、牡馬と比べて古馬の活躍は大きく減る(出走頭数も少なくなる)ため、年齢を重ねるごとに勝ち馬が減るのは納得。その一方、出走頭数が少ないわりに3歳馬が善戦していることをみると「勢い+斤量」の恩恵は見逃せまい。
ということで、どうしても勢いのある3、4歳馬に目がいってしまう。
穴党としても狙いは3歳馬。といっても人気、有力どころのスタニングローズやナミュールではない。最も期待を寄せたいのは、ライラックである。
気ムラな面があり、前走の秋華賞(10着)は、それがモロに出てしまった感があった。
「ハミを噛むところがあったので、ジョッキー(M・デムーロ騎手)は抑えたそうだが、下げすぎ。しかも外を回るハメになって。消化不良の一戦だった」
と、相沢調教師が振り返っていたように、16頭立ての最後方追走では、陣営にとって不満が残る競馬だっただろう。勝ったスタニングローズは、好位(4、5番手)での追走だったのだから。
それでも、しまいの伸びは悪くなく、勝ち馬とコンマ8秒差なら巻き返しは可能だ。
1月のフェアリーSで、のちに桜花賞、オークスを制するスターズオンアースに勝利しており、秋初戦の紫苑Sでもスタニングローズとコンマ1秒差の3着。力は確かなだけに、まともならここでも十分通用していいはずだ。
秋華賞で引っ掛かって(ハミを噛んで)10着に敗れたのも、休み明けを余裕残しの状態で好走した紫苑Sのいわば反動。“2走ボケ”だったと捉えることもできるのではないか。
この中間は何の問題もなく、とにかく順調にきている。1週前の追い切りも言うことなしで、都合4本の時計を出している。今週の本追い切りで万全の出走態勢を整えられるはずだ。
「体重が減らなくなったのは成長の証し。スムーズに追走できれば、と思っている」
と、相沢師もヤル気のほどを滲ませる。
近親、一族にダイワメジャー(天皇賞・秋、安田記念などGI5勝)など活躍馬が多くいる血統馬。“一発”があっても不思議はない。