「進退も含めてしっかりと考えて結論を出したいです」
こう語ったのは、女子ソフトボール日本代表のレジェンド投手・上野由岐子だ。
今シーズンから始まったソフトボールのプロリーグ「JDリーグ」では、所属するビックカメラ高崎が初代王者に輝いたが、上野は春先からのコンディション不良が響いて、登板はゼロだった。もっとも、コーチ兼任選手の立場から、後輩には惜しみなく助言を送っていた。
そんな上野の今後について、日本代表OBは次のように語る。
「上野はソフト界で唯一、自分で引退を決められる人物。彼女の決断に異を唱えることは協会もチームもできないでしょう。上を見ればサッカーの三浦知良はまだ現役だし、プロ野球では中日の山本昌氏が50歳までプレーを続けた例もある。ただ、昨年の東京五輪では、39歳の誕生日を迎えた7月25日に初戦のマウンドに上がり、北京五輪以来、3大会ぶりに五輪競技に復帰しましたが、全盛期にほど遠い内容に本人がイライラすることもありましたね」
2024年のパリ五輪では再びソフトボールが実施種目から外れてしまい、JOCや日本ソフトボール協会は28年のロス五輪での返り咲きを狙っているところ。だが、
「ロス五輪まで上野がもつかと言えば、厳しいと言わざるを得ない。ただ、『JDリーグ』もあるし、五輪が無理だから引退ということにはならないでしょう」(前出・元日本代表OB)
上野の1歳下で東京五輪にも出場した山田恵里は、今シーズン限りで現役引退することを決めた。
とはいえ、上野は女子ソフト界で唯一無二のアイコンという責務もある。「しっかりと考える」と語った本人の決断が注目されるのである。