9月27日の配信で本サイトが報じた、阪神による新監督に関する「報道自粛問題」。
結果的に、阪神はサンケイスポーツに対し、選手、監督、関係者へのいっさいの取材を禁止するという異例の処分を下した。もっとも、この「出入り禁止措置」は、早ければ11月下旬にも解除される見通しだという。
ところが、この処分解除に対し、あろうことか、同業他社が苦言を呈しているという。
ことの起こりはサンスポの9月27日発行の紙面だった。この日の1面でサンスポは「阪神新監督に岡田彰布氏内定」と報道した。紙面が届く前の午前3時にはネットで先行報道されたこともあり、このニュースは瞬く間に拡散した。
「実は、阪神は9月9日に報道各社に対し、シーズン終了まで次期監督に関する報道を自粛するように通達していたんです。これを破った媒体は、その後、無期限で取材協力をしないとも書かれていました」(スポーツ紙野球デスク)
結果、「スクープ」したサンスポは阪神から出入り禁止を言い渡されたわけだ。
それにしても、同業他社はなぜ、報道に圧力をかけるような「出禁警告」に抗議せず、「出禁解除」に対して不満の声を上げたのか。他の報道各社は、
「約束を破ったのに、たった2カ月で解除はおかしい。もっと徹底的に排除すべきではないのか」
などと球団へ非公式にクレームを入れたというのだが…。
「本来なら各社は自由競争で報道をしなければいけないはずが、コロナ禍以来、取材がままならなくなってしまった。本来なら関係者に直当たりして取材するところを、コロナ感染の観点から無理になってしまったのです。その結果、球団が用意する取材スケジュールや内容に従うしかなくなった。球団に完全にコントロールされることに慣れてしまったのでしょう」(テレビ局スポーツ番組スタッフ)
コロナウイルスの猛威が、報道する者の矜持すら失わせてしまったのか…。