芸能

THE MODS「激しい雨が」を生んだ記録的豪雨の野外ライブ/日本音楽シーン「名作裏面史」

 81年発売のロンドン録音によるデビュー作「FIGHT OR FLIGHT」発売から、今年で結成41年目を迎えたTHE MODSが11月9日、アコースティック・マキシシングル「DRIVE WAY JIVE」を発売。11月25日から名古屋「BOTTOM LINE」を皮切りに「THE MODS Premium Acoustic Tour 2022 DRIVE WAY JIVE」と題するライブを開催する。

 THE MODSは森山達也(vo,g)が結成した前身バンド「開戦前夜」「THE MOZZ」を経て、74年に誕生したルースターズ、ロッカーズと並ぶ、めんたいビート・バンド。不良少年のやるせなさを直球のロックンロールに乗せた、「クラッシュ」直系でありがながら、情感豊かに歌い上げる森山のボーカルが、他のパンクスたちと一線を画すクオリティーを放っていた。

 そんな彼らの「伝説の一夜」となったのは、82年6月20日。記録的豪雨の中、日比谷野音で開催されたワンマンライブである。

 森山のインタビューによれば、当日の昼は晴天だったが「8曲目あたりから雨がぽつりぽつりきて、最後はスゴイ雨になって。ギターは壊れていくわ、アンプは鳴んなくなるわ、マイクは潰れていくわ」で、最後に残ったギターは1本だけだったのだとか。

 そんな中で数人の客が歌い始め、やがて怒涛の大合唱が野音を包み込んだという。森山は「電気の力は弱いけど、電気は自然に負けるけど、人間は大丈夫だって」と語っている。

 翌83年9月、森山が書き上げた「激しい雨が」が「マクセルUD I」のCMソングに起用され、彼ら自身もキャラクターとして出演すると、普段はロックなど聴いたことがない一般リスナーをも引き付け、一躍、人気を得ることになる。

 そんなTHE MODSがこの年の11月に発売し、のちにゴールでディスク獲得となるのが、通算5枚目のアルバム「HANDS UP」だった。

「激しい雨が」ほか全10曲が並ぶアルバムは、シンプルだがドラマ性を帯びている曲が多い。社会からつまはじきにされ、矛盾に押しつぶされながらも大切なものを守り抜いていく…そんな気恥ずかしいような主人公の葛藤が、見事に描かれていた。

 彼らのベースにあるのは、「奴ら」に対する「俺たち」。そして古くからのファンは、ライブ会場でこう叫んだ。「We are The MODS」。「ここにいる全員が、モッズだ!」と。

 40年の時を経てもなお、THE MODSは、全国の不良少年のアニキ的存在として、愛され続けているのだ。

(山川敦司)

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