近年はNHKの「家族に乾杯」に出演するなど、すっかり穏やかなイメージが定着した笑福亭鶴瓶。だが、かつては過激なトークや物を壊すなどの大暴走で、某テレビ局を出入り禁止になるなど、なかなかのヤンチャぶりで知られていた。そんな鶴瓶が起こした有名な珍事が、番組放送中、寝ぼけて局部をさらけ出すという「開チン」騒動である。
03年6月29日の深夜2時過ぎ。前日の夕方から放送されていた「FNS27時間テレビ」(フジテレビ系)の企画、「さんま&中居の今夜も眠れない」の生放送で、鶴瓶は長崎県松浦市に滞在していた。現地の交流会で飲んだ酒により泥酔。そのまま眠ってしまった。
番組はココリコの遠藤章造と田中直樹を投入。鶴瓶を叩き起こす、という「画」を撮る予定だったが、起こされた瞬間、鶴瓶の黒い肌着がズリ下がり、「男性自身」がカメラにバッチリ映ってしまったのだ。もちろん、全国生放送である。
放送直後からフジテレビには抗議の電話とメールが殺到。午前3時半には、同局の高島彩アナが「放送中、お見苦しい点があったことをお詫びします」と謝罪したものの、抗議の電話は番組終了まで続いたという。
だがフジテレビ、所属事務所ともに「基本的にアクシデントで、本人も反省している」として、お咎めはなし。結果、鶴瓶は翌04年にも同番組に出演した。
そして翌05年には同番組の総合司会に抜擢され、6月30日にフジテレビで記者会見に臨んだのである。
鶴瓶は冒頭で、
「下半身を見せた番組の司会をしていいのかわかりまへんが、一生懸命頑張ります」
として、「国民の皆様へ」と書かれた「5つの誓い」を読み上げた。それが「【1】飲まない【2】脱がない【3】寝ない【4】怒らない【5】ひとつでも多くの企画を実現する」で、毛筆でサイン。そして、
「守らなきゃ、人間じゃないでしょう。当たり前やん、こんなの」
「もし守れなかったら?」との質問には、
「落語家として地道に頑張ります」
と苦笑いした。
とはいえ、いくらなんでも「開チン」騒動で非難轟轟だった鶴瓶を総合司会に大抜擢して問題はないのか。フジテレビ関係者を取材すると、
「ま、番組自体がそもそも日本テレビの『24時間テレビ 愛は地球を救う』のパロディー。しかも、開チン事件の際は深夜にもかかわらず、瞬間視聴率10.4%を叩き出しましたからね。みそぎかって?いやいや、とんでもない。前回以上の『突発事件』を期待しての起用と考えて間違いない。なんせ、うちが掲げるスローガンは『楽しくなければテレビじゃない』ですから」
なるほど。やはり「楽しくなければ鶴瓶じゃない」ということのようで…。
(山川敦司)
1962年生まれ。テレビ制作会社を経て「女性自身」記者に。その後「週刊女性」「女性セブン」記者を経てフリーランスに。芸能、事件、皇室等、これまで8000以上の記者会見を取材した。「東方神起の涙」「ユノの流儀」(共にイースト・プレス)「幸せのきずな」(リーブル出版)ほか、著書多数。