ウクライナへの軍事侵攻に着手する半年以上前の21年夏、ロシアは日本を軍事攻撃する準備を進めていた──。
こんな驚きのニュースを米「ニューズウィーク」が発信し、日本国内外に大きな衝撃を与えている。
これは「ニューズウィーク」が入手した、ロシア連邦保安庁(FSB)内部告発者からのメールで明らかになったものだという。公安関係者が説明する。
「これはFSB関係者が、ロシア人の人権擁護活動家に送信したメールのひとつだといいます。そこには昨年8月、ロシアが『日本を相手にした局地的な軍事攻撃に向けて、かなり真剣に準備をしていた』と書かれていたというのです」
なぜロシアが日本をターゲットにしたかについては、メールでは詳細は明らかにされていないというが、侵攻の標的はギリギリになってウクライナに変更されたと結んでいる。公安関係者が続ける。
「ロシアの指導者らにとって、日本やどこかと戦争すること自体に大きなメリットがある、ということ。例えば国内の不満を逸らすことや、経済面などでリスクよりも大きなプラスが期待できる。安倍元総理や森元総理とプーチン大統領は何度も会談し、一見、ロシアとは友好な関係を築いてきたかに見えますが、ロシアは本音では第二次大戦前後から北海道を狙い続け、今もあわよくば、と思っているのは間違いない。今回のメール騒動は、その本音が表に漏れたということではないか」
元防衛省職員は今回の報道を受け、次のように警鐘を鳴らした。
「ロシアには今も、日露戦争敗戦の遺恨が残っていることは確か。それだけに『隙あらば軍事侵攻』という感情を抱いていても不思議ではない。加えて、現在はウクライナに注力しているからといって、日本を完全にターゲットから外したとは、完全には断言できない。なにしろ彼らは核を持っていますからね」
日本では防衛力の抜本強化をめぐり、5年間で防衛費を総額45兆円にしたい防衛省と、これを抑えたい財務省の攻防が続いているが、直近ではアメリカからのトマホーク購入問題が浮上している。
射程距離1300キロのトマホークは、湾岸戦争をはじめ各戦闘地で投入されてきた、米軍が誇る主力の精密誘導型巡航ミサイル。アメリカは日本への売却に前向きだが、自衛隊関係者は不吉な見解を明かしている。
「以前は日本が求めても、アメリカがトマホークを売ろうとはしませんでした。それが一転したのは、日本への脅威が現実味を帯びていることと、いざ有事となった場合、日本もウクライナのように、ある程度は自国で何とかしてほしい、というシグナルととれる。もはやロシアの動きも読み切れず、アメリカをアテにできない日本は早急に防衛力を整えるべきで、当然、そのために5年間で45兆円は必要になってくる」
ウクライナ戦争は完全に他人ごとではなくなっている。
(田村建光)