マリウポリを中心にウクライナ東部で激戦が続く、ロシアの軍事侵攻。いまだ終戦どころか、停戦の糸口さえ見つかっていない。
そんな中、ロシアのプーチン大統領は4月27日の議員会合に出席し、
「外部から干渉する者は、我々の反撃が稲妻より早いものになることを知るべきだ。ロシアはあらゆる手段を持つ。我々はそれを自慢するのではなく、必要とあらば使うのだ」
侵攻直後と変わらず、核兵器をチラつかせ、NATO(北大西洋条約機構)加盟国を中心とする、ウクライナに加担する国々を恫喝したのだった。軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏が解説する。
「ロシアを追い込むことで、プーチン大統領が『エスカレーション・ラダー』を上げてくるかもしれません。つまり、言葉による牽制では飽き足らず、実際に核兵器使用に踏み切って牽制する。それをNATOの盟主である米バイデン大統領は恐れているはずです」
この「ラダー」とはハシゴのことだ。人類が登ったことがない「核戦争」というステージにハシゴをかけて、そこを昇るも降りるも自由である──。それが現在のプーチン大統領の立場であり、厄介な暴君たらしめる要因となっている。
現在、ロシアが保有する核兵器の規模はいかほどか。前出の黒井氏によれば、
「米露間には、核兵器の軍縮条約である『新START(戦略兵器削減条約)』が締結されています。互いに保有する核兵器の数を規定するもので、10年に発効。21年1月には、バイデン大統領とプーチン大統領との間で、26年2月までの延長が合意に達しています」
この条約でロシアが保有してもいい、配備可能な戦略核弾頭は1550発。ただし、備蓄の戦略核弾頭と非戦略核弾頭には数量制限がない。そのため、現在のロシアは戦略核、非戦略核合わせて約6000発を手中に収めているとみられている。それがいつ世界に、そして日本に降りかかってきてもおかしくはない…。
5月10日発売の「週刊アサヒ芸能」(5月19日号)では、すぐそこに迫ったロシアの「核の脅威」について詳報している。