それは芸能界にとって、衝撃の判決だった。
歌手の愛内里菜が「無断で芸名を使って活動している」と、専属契約を結んだ事務所「ギザアーティスト」(大阪市西区)から訴えられていた裁判で12月8日に東京地裁は、事務所側の使用差し止め要求を却下。愛内側の勝訴となった。
これは画期的判決として、即座にトレンド入り。芸能界の圧力をよしとしない人たちから、歓迎のコメントが殺到した。
「今回の判決で多くの人がすぐに思い浮かべたのが、現在は『のん』の名前で女優活動している、元・能年玲奈のことでした。NHKの朝ドラで大ブレイク後、事務所からの独立トラブルにより、本名を使えなくなったのです。その結果、16年からは『のん』と改名して活動。世間からは、本名なのに使えない理不尽さを憂う声が止みませんでした。ですから、今回の愛内の勝訴で浮上したのが『のんもすぐに訴えてほしい』という声なのです」(芸能関係者)
また「能年玲奈」に戻ってほしい──。そんな世間の期待が高まる中、本当に訴えることはあるのか。
「のんという芸名はその後、浸透しました。愛内の場合は、裁判長が事務所との契約は活動を停止した2010年12月31日に終了した、と認めましたが、のんと当時の所属事務所のトラブルとは少し様相が違います。裁判には費用も時間もかかりますし、現実問題として訴える可能性は低いと思います」(前出・芸能関係者)
はたしてこの「前例」は、芸能事務所とタレントにどんな影響を与えるのか──。
(塚田ちひろ)