大晦日の「第73回NHK紅白歌合戦」に、特別枠として松任谷由実が出演すると発表された。「松任谷由実 with 荒井由実」としての出場で、最新のAI技術により、過去の「荒井由美」を再現。現在の松任谷とデュエットするという。
今年デビュー50周年を迎えた松任谷は、ベストアルバム「ユーミン万歳!」がオリコン週間アルバムランキング(11月3日~9日集計)で1位を獲得。1970年代から2020年代まで、6つの年代の全てで首位を獲得するという偉業を達成し、11月には文部科学省から文化功労者にも選ばれるなど、八面六臂の大活躍だった。
紅白へのサプライズ出演は、そんな今年の締めとしては最高の舞台となるだろうが、「AI企画」については業界関係者の中でも冷めた声が広がっている。音楽関係者が言う。
「この『松任谷由実with 荒井由実』名義の『Call me back』は、デビュー初期の荒井由実時代のボーカルをAIで再現し、現在のユーミンとコラボした楽曲。そのMVを見ても、AIとは思えぬ完成度の高さには驚かされるばかりですが、一方で『味気ない』と感じたファンも多いんですよ」
紅白では19年にも、目玉歌手として「AI美空ひばり」を出演させたが、「不気味すぎる」と反発する声があった。
「中高年層の視聴者を引き付けつつ、若年層の興味も引きたいNHKとしては、最新技術を使った松任谷の『Call me back』はうってつけなのでしょう。ただ、普通に歌ってほしいと思う視聴者が多いのも事実。あの手この手の『特別枠』も考えものです」(前出・音楽関係者)
家族揃って紅白を見て年越し、という時代はすでに終わっている。NHKのあがきばかりが目立っているようだ。
(ケン高田)