22年、セ・リーグの新人王に輝いた巨人・大勢は、57試合に登板して1勝3敗37セーブの勝負強さを見せつけた。今季Bクラスに沈んだ巨人だが、大勢がいなければ最下位も十分ありえただけに、彼の活躍が巨人党の溜飲を下げたと言っても過言ではない。
しかしながらこの大勢、21年のドラフトで4球団競合した隅田知一郎(現・西武)の抽選を外しての1位指名。関西国際大学時代に大きな実績を残していたわけではなく、「翁田大勢」の名前がドラフト会議でコールされた時、「ん?」と誰もが思ったのではないか。
「金太郎」の愛称で知られる巨人の水野雄仁スカウト部長も、スポーツ報知のYouTubeチャンネル〈報知プロ野球チャンネル〉でそう振り返ったのである。
「オレも思ってた(笑)。いや(大勢は)すごい球投げるけど、やっぱり大学の実績はないし…」
しかし、大勢を推すスカウト部員の言葉を信じた水野氏。
「原(辰徳)監督も『キンタ、大丈夫か』って思っただろうけど、『いや、大丈夫です』って言うしかないじゃん。勝負よ! 原監督も『よし、じゃあ、翁田でいこう!』って言ってくれたのが、こういう結果になったってことだよねぇ」
ここでスタッフから「水野さんの、見た目を信じたってことですね。相馬眼ですね」と水を向けられると、競馬好きの水野氏はポツリとひと言。
「馬をこれだけ見る力があったらなぁ…こんな仕事してないよ」
(所ひで/ユーチューブライター)