プロ野球選手との結婚を夢見て、地方テレビ局を経てフリーアナウンサーに転身したA。Aが大好きだったパ・リーグ球団で活躍していたTとの交際は順調に進んだかに思われ、周囲にも「私、今度は結婚できるかも」と漏らし始めた矢先のこと──。
ある日を境に、電話がつながらなくなった。LINE、ショートメールも届かなくなり、そのうち携帯の電話番号が変わっていた。そのわずか10日後、Tは2年間の遠距離交際を続けていた年下の会社員と結婚しことを公表。ネットニュースには、2人並んだ仲睦まじい写真が掲載された。コメント欄に「純情愛を貫いて素晴らしい」と称賛が並ぶ中、Aは「どこが純情よ。二股してたんじゃないの」と泣き叫んだ。あとの祭りだった。「もう二度と野球選手は…」と心に誓った。
情報番組を主戦場にしたAは、あえてプロ野球関係者とは距離を置いた。だが喉元過ぎれば熱さ忘れる、とはこのことか。最近また、野球選手に対する熱が高まってきたのだ。
気付けば30歳を超えていた。高卒ルーキーとの干支は、ひと回り違う。最近も著名な若手投手と結婚した元タレントに「出会いから結婚までの秘訣を話してほしい」と教えを請うた。
「次はもう失敗できない。私が面倒をみる覚悟でやる」
はたしてAに、春はやってくるのだろうか。(おわり)