当の本人はさほど気にしていなかったのか──。
サッカー日本代表FW浅野拓磨が12月19日放送の「W杯日本代表ブラブラブラボーSP」(フジテレビ系)に出演し、物議を醸したドイツ代表DFアントニオ・リュディガーによる「挑発走り」について激白した。
カタールW杯では、初戦のドイツ戦で見事な決勝ゴールを叩き込み、チームに勝ち点3をもたらした。後半19分には右のタッチライン沿いに蹴り出された味方からのボールを追い、DFリュディガーと並走していたところ、両足を大袈裟に高く上げてステップする「煽りプレー」で対応されてしまう。
このリュディガーの振る舞いについては、ABEMAで解説していた元日本代表MF本田圭佑も「ちょっと今のは性格悪い。バカにした走り方」と不快感を示し、海外メディアでも「おちょくるプレー」だとする批判は多かった。
では当事者は、どのように感じていたのか。お笑いタレント・土田晃之からリュディガーの走り方について聞かれた浅野は「いやぁ、すげぇ走り方のヤツいるなって。元陸上部かなんかかなと思ってました」。どうやら、さほど気に留めていない様子だったのである。
リュディガーはスペインの強豪レアル・マドリードに所属するワールドクラスのDFで、前所属クラブのチェルシー(イギリス)時代から時折、太腿を大きく上げる走法を見せてきた。今回の「挑発走り」については、世界中で見解が分かれているが、その理由はリュディガーの過去の言葉にヒントがある。
W杯開幕前の9月、ドイツメディア「Sport1」のインタビューに応じた際、リュディガーは特異な走り方をする理由について「そう走る方が速いと思ったから」と語るほか、挑発的な意味合いや悪ふざけの意図がある、とも述べていたのだ。スポーツライターが語る。
「普段からチェルシーやレアルの試合を見ている層からは、お馴染みの風景として解釈された一方、速く走るためにもかかわらず、真剣勝負の大舞台や、勝ち越しを狙う緊迫した場面ではなかなか実践しないのも事実。今大会でも、格下とみた日本代表との試合だけで見せたことから、挑発的な意味合いがあると疑われました。元ドイツ代表ディートマー・ハマン氏もその振る舞いを『プロ失格であり、傲慢なもの』と非難していました」
とはいえ、浅野本人は意に介しておらず、その19分後に値千金のゴールを決めると、最後は強豪国ひしめくグループEを首位で突破。リュディガー自身は「自分の挑発が日本代表の反発心に火をつけて、奮起させてしまった」と後悔しているかもしれないが。
(木村慎吾)