DeNAが12月23日、前マリナーズ傘下3Aのトレイ・アンバギーの獲得を発表した。右の長距離砲で「外野なら全ポジションを守れる」との触れ込みだが、この補強でとんだトバッチリを受けそうな大物選手がいる。
「オースティンが10月に今年2度目の右ヒジの手術を受けました。来季の開幕戦には間に合わない可能性が高く、その代役としての獲得でしょう」(スポーツ紙記者)
これで、来季の外国人選手は野手3人、投手3人の6人体制となる(支配下)。試合出場の4人枠を巡る争いとなりそうだが、トバッチリとは、一軍登録から外れる外国人選手のことではない。ブルージェイズ傘下3Aバッファローからフリーエージェントとなった筒香嘉智のことだ。「この補強によって、仮に筒香がDeNAに戻ってきても、試合に出られないのでは」と話す球界関係者が少なくないのだ。
「筒香の代理人のジョエル・ウルフ氏は、日米メディアの取材に対して『筒香の今後』について答えています。ウルフ氏は『筒香はMLB球団を第一希望に挙げている』としながらも、『筒香の交渉は長期化する。それでも状況が変わらない場合は日本の球団も(考慮する)』と、日本球界への復帰に含みを持たせていました」(在米ジャーナリスト)
もっとも、筒香自身が「可能性がゼロになるまで諦めない」と言っているようで、日本復帰は、マイナー契約のオファーもなかった場合になるとも言われる。
「メジャー契約選手のバックアップ要員を大量に獲るチームもあります。米球界残留の可能性があるとすれば、バックアップ要員でのマイナー契約でしょうね」(前出・在米ジャーナリスト)
一方、「日本に復帰するなら、古巣のDeNAが最優先」との声も多く聞かれた。DeNA側にしても、筒香が日本の他球団に行くことは望んでいない。しかし、筒香のMLBとの契約の可能性がゼロになるまでは待っていられない。今回のアンバギー獲得には、そんな状況も含まれていたようだ。
筒香の不退転の決意が、皮肉にも古巣での居場所を狭める結果となってしまったようだ。
(飯山満/スポーツライター)