NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」は三谷幸喜の脚本もさることながら、主人公の北条義時を演じた小栗旬をはじめ、脇を固める俳優陣も魅力的に描かれ、1年間、存分に楽しめた。とりわけ北条政子を演じた小池栄子は秀逸で、陰の主役は間違いなく小池といっていいだろう。
近年、女優としてその演技力が高く評価されている小池だが、そもそもはイエローキャブ所属のグラビア出身。グラビアの方は最近、とんとお目にかからないが、現役当時はそのドSボディに圧倒されたものだ。
グラビアからバラエティーに進出した小池は、コメディエンヌとしての才能も発揮。その昔、「完売劇場」(テレビ朝日系)や「水10!ワンナイR&R」(フジテレビ系)などで見せたコントでの吹っ切った演技は、そこらの芸人が束になってかかっても敵わない切れ味だった。
「爆笑問題の検索ちゃん」(テレビ朝日系)では、あの太田光(爆笑問題)の暴走に臆することなく、適度にあしらうさまは、まさに銀座のチーママ級。「日経スペシャル カンブリア宮殿」(テレビ東京系)では村上龍をうまくコントロールし、しっかり存在感を示すなど、司会のスキルも相当高い。
そんな非の打ちどころがない小池だが、黒歴史といえる大失態がある。それは、20年11月21日放送の「まつもtoなかい~マッチングな夜~」(フジテレビ系)に出演した際のことだ。
松本人志(ダウンタウン)と中居正広がホスト役を務め、それぞれが「会わせたい」と思う2人を招いてマッチングさせるトーク番組で、小池のマッチング相手は天海祐希だった。2人は以前、三谷幸喜の作舞台で共演したのをきっかけに交流が始まったそうだが、この日は、天海と「より仲良くなりたい」と思っているという小池が、なんとか懐に飛び込もうと躍起になっているように見えた。
そんな小池の頑張りに反して、なかなか腹を割ってくれない天海。すると小池は「松本さんに怒られるかもしれない。私、今日仕事してないから」と焦り出し、何を思ったか、天海に「胸はまだピンクで綺麗ですか」と尋ねたのだ。
この笑福亭鶴光もビックリの「乳頭の色確認」に、天海は「全身綺麗。人に見せてないだけ」と答えていたが、目は一切笑わず。松本が「怒ってないですか」と心配すると、天海は「全然、怒ってない」と答えていたが、それ以降、小池と天海が共演しているのを見た記憶がない。
天海は元宝塚歌劇団のトップスターだ。宝塚には年齢や本名を明かさない「すみれコード」という鉄則の掟がある。退団後はその限りではないが、それにしてもこんな下世話な質問は前代未聞だろう。
小池のサービス精神が生み出した惨劇ともいえるが、まさに「やっちまったな~」な瞬間だった。どんなに小池が大女優になろうとも、この黒歴史が消えることはない。
(堀江南)