青山学院大学陸上部・原晋監督の駅伝界への「警鐘」が物議を醸している。
1月2日と3日に開催された箱根駅伝では、駒澤大学が2年ぶり8度目の総合優勝。総合3位に終わった青学大の原監督はリベンジを誓いつつも、駅伝界の将来を危惧する、次のようなコメントを残した。
「少年たちはW杯を見た。身体能力の高い選手がサッカーに流れてしまう。極端な話、箱根駅伝がなくなったら、誰がこんなきつい長距離をやるのかと。今のままでは五輪で戦える選手は出てこない」
そして、こうも主張したのである。
「100回を機に、全国化すべき」
原監督は昨年11月に行った講演会でも「他の種目に身体能力の高い子供たちが行ってしまう」と危機感を募らせているのだが、駅伝関係者からは「的外れ」という声も少なからず出ているのが実情だ。
「箱根駅伝は関東のローカル大会ですが、来年の100回大会では、特別に全国の大学に参加の門戸が開かれます。もっとも、関東以外の大学は出雲駅伝や全日本大学駅伝に照準を合わせており、箱根駅伝を中心に考えること自体に無理がありますよ」
原監督にしてみれば、全国の身体能力の高い若者を迎え入れて盛り上げたいのだろうが、そもそも駅伝自体が国際的なスポーツではない。行われているのは日本を含め、ハワイやオーストラリアなど、ごく一部の国や地域だけだ。駅伝関係者が続ける。
「世界を視野に入れて長距離に挑戦したい若者の多くは、それこそ最初から陸上部を選択する。そもそも、駅伝を通して有力ランナーを育てようとするなら、外国人留学生をメンバーに加える必要もないでしょう。母校の優勝を目標に置く大学駅伝の現状では、有能な若者が他のスポーツに流れるのも当然の話です」
全国化を目指す前に、やるべきことはあるようだ。
(ケン高田)