1月10日、タイ政府は中国での新型コロナウイルス感染症の感染急拡大に対する措置を見直し、全ての国からの旅行者にワクチン接種証明書不要、日本からの旅行者は医療保険加入不要と発表した。
コトの発端は1月7日、CAAT(タイ民間航空局)が各航空会社に通達を出したことだった。当初は入国にあたり、18歳以上の乗客は2回のワクチン接種済みであると示す証明書を提示、もしくは過去180日以内に回復したことを示す医師の診断書を提示する。ワクチン接種を受けていない人は、その理由を説明する医師のレターを提示するというものだった。適用開始とされた1月9日以降にタイに行く旅行者の間では、大きな混乱を招いた。
それが一転、現在はこれらの規制をタイ政府が撤回し、日本人はこれまで通り入国できることに。旅行者からは安堵の声が上がったのである。
「1回目のワクチン接種の際に副反応で熱が下がらなかったので、2回目以降は打っていません。2回目の接種券は破り捨ててしまいました。医師の手紙を提示しないと入国できないとあったので、一時は旅行自体キャンセルしようかと思いました。撤回されて安心しましたね」(都内の50代男性)
このような声が上がる一方で「複雑な思い」と語るのは、バンコクのホテルに勤務する日本人スタッフだ。
「正直、まったくの規制なしで中国からの旅行者を受け入れることには、不安な思いがありますね。とはいえ、ホテルサイトを通して予約を受け付けているので、中国からの旅行客のみお断り、というわけにもいきません。ただ、やるのであれば、ワクチン接種の有無よりも陰性証明提示の方が、こちらとしては安心できますね」
旅行者が戻ること自体は賛成だが、実際に入国となれば、感染対策の懸念は残る。間もなく迎える春節に多くの中国人の移動が見込まれる中で、期待と不安が渦巻いているのだ。