テレビ局の屋台骨を支えるのがCMなどの広告収入。だが、昨今はこの収入が激減している。そんな現場の営業マンが、起死回生の策として必死にセールスしているのが動画配信サービス「TVer」のCM枠だという。
「地上波と『TVer』、どっちも売らなきゃ会社がもたない」
こう語るのは、テレビ局の営業マンと親しい中堅広告代理店関係者だ。
周知のように「TVer」は、在京キー局と在阪テレビ局、それに大手広告代理店が始めた番組の無料配信サービスで、各局の見逃し配信などを集約したポータルサイト的存在だ。地上波同様、番組にはCMが入る。今後さらにサービスを拡大すると言われていて、当然ながらCM数の増大も期待されるのだ。とはいえ、まだ「TVer」だけでは売り上げが足りないこともあり、各局営業マンは悲鳴を上げているのである。
こうした状況に追い打ちをかけるように、「WBC問題」も浮上しているという。
「今年3月にワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が開催されますが、これを中継するTBS、テレビ朝日系列の各局の営業マンが頭を抱えているんです。中継中はWBCをスポンサードする企業のCMしか流すことができないため、スポットCMを入れることができません。そのゆえ、期末にもかかわらず、営業マンが走り回っても売り上げの積み上げができないのです」(前出・広告代理店関係者)
WBCにまつわる懸念材料はそれだけではない。
「『春の売り上げ』が重視されるのは、この季節は学生や新社会人が新生活を始めたり、新年度ということもあって、関係企業がCM出稿する機会が多いからです。そのためWBCの中継をしない他局にCM出稿が流れてしまい、へたをすると今後も戻ってこないのでは、という不安があるのです」(前出・広告代理店関係者)
営業マンの受難はまだまだ続きそうなのである。