アフリカの赤道ギニアで「マールブルグ病」の感染者が出たことを受けて、厚生労働省は検疫所や地方自治体、医療関係団体に注意喚起した。松野博一官房長官が2月15日の会見で明らかにしたのだが、「海外の感染情報や知見の収集など、必要な対策を講じる」としている。
日本国内の患者は確認されていないというが、このマールブルグ病、あのエボラ出血熱と同じ仲間のウイルスであるマールブルグウイルスによる感染症とあって、致死率は最大で88%と極めて高いという。サイエンスライターが解説する。
「1967年に西ドイツ(当時)のマールブルグなどに、アフリカから実験用のアフリカミドリザルが輸入された際、関係者が突如発熱し、死者が出たことから、ウイルスの存在が発覚しました。その後、大規模な感染例としては、1998年から2000年にかけて、コンゴで120人以上が死亡。04年から05年にかけては、アンゴラで270人以上が死亡しています。そして今回、赤道ギニアで9人の死亡が確認されたのです」
感染源についてはアフリカのコウモリとの説があるが、経路は不明。そもそも現時点で効果的な薬もなければ、予防ワクチンもない。
「症状はやはりエボラ出血熱に似ていて、3~10日の潜伏期間ののちに高熱を生じ、吐血、下血、皮下出血をともないます。その後は極端に体重が落ちて肝機能障害などを引き起こし、多臓器不全に陥ります。出血量によっては発症から1週間程度で死亡する例もあり、重症度や感染力で分けられる日本の感染症法上の分類では、2類の新型コロナの上の1類。人間から人間へは、血液や排泄物、体液でさえも感染するとされ、コロナとは比較にならないほどの脅威です」(医療関係者)
14年のエボラ出血熱では世界で1万人以上が死亡しているが、まずは赤道ギニアでの封じ込めが成功するよう願うしかない。