1月12日公開の本サイト記事では、日本国内の養鶏場で鳥インフルエンザに感染した可能性のある鶏の殺処分が激増の一途を辿る中、高病原性鳥インフルエンザの「ヒトからヒトへの感染爆発」がいつ始まってもおかしくない状況にあることを指摘した。
しかし、ヒトからヒトへの感染爆発を恐れる前に、当面、警戒しておかなければならない留意点も存在する。ズバリ、鶏からヒトへの感染である。
インフルエンザウイルスに詳しいウイルス学の専門家が指摘する。
「N5H1型と呼ばれる高病原性鳥インフルエンザは、鶏からヒトに感染することがすでに確認されており、その場合の致死率はおよそ50%と言われています。多くの場合、ヒトへの感染は、感染した鶏との濃厚接触によって起こると考えられていますが、専門家の間では、感染した鶏の『生卵』や『鳥刺し』などを食べて感染する危険性も指摘されています。稀なケースとは言われていますが、このようなリスクを完全にシャットアウトするには、鶏卵や鶏肉を加熱してから食べる以外に手はありません」
感染のリスクは他にもある。ウイルス学の専門家が続ける。
「高病原性鳥インフルエンザは渡り鳥から鶏へ、鶏から野鳥へといった具合に、鳥類の間で伝染していきます。したがって、生きている鳥に加えて、死んだ鳥に触れることも危険です。また、高病原性鳥インフルエンザはキツネやタヌキなどの哺乳動物にも感染しますから、念のため、山野や街中などで出会う野生動物と不用意に接触するのも、避けた方がいいでしょう。今後はイヌやネコへの注意も必要になるかもしれません」
日本国内で流通している生卵や鳥刺しなどは、十分な衛生管理がなされていると言われるが、加熱するなど注意するに越したことはないのである。