WBC開催に向け、ダルビッシュ有の存在感がますます際立っている。
2月20日には投手陣との食事会を、チームに馴染めない宇田川優希を中心とした「宇田川さんを囲む会」にしたかと思えば、23日には練習後、野手組による食事会にも参加。出場機会のない25日、26日の壮行試合でも終始、選手に声をかける姿が印象的だった。スポーツライターが語る。
「合宿参加前には『日本は気負いすぎというか、戦争に行くわけではない』と話していたダルビッシュですが、09年の第2回WBCを経験している侍ジャパン最年長としての役割を、合流直後からヒシヒシと感じているのでは。イカついイメージからビビッていた選手もいたようですが、自ら率先して溶け込む様子には、リーダーの自覚の強さが伝わってきますね」
そんなダルビッシュで思い起こされるのが、06年の第1回と第2回大会に出場したイチローの振る舞いだ。スポーツライターが続けて振り返る。
「バリバリのメジャーリーガーとして参加したイチローも、双方の大会で積極的に他の選手とコミュニケーションをとり、リーダーとしてチームを牽引しました。最終的に決定的な場面で勝負強さを発揮しましたが、06年、09年と一次リーグを含め大会前半は振るわず、カラ回り状態に陥っています。イチローのような野手は、試合に出続けることでコンディションを上げていくことが可能ですが、投手の場合は一発勝負。ダルビッシュもいざマウンドに立った際、慣れないリーダー役としてのプレッシャーがマイナスに出ないよう願うばかりです」
対外試合の出場が3月6日以降に制限されているダルビッシュ。登板が有力視される3月10日の韓国戦がいきなりの実戦になる可能性もあるだけに、余計にイチロー状態にならないか、心配なのである。