中国の電気自動車(EV)大手「BYD」の有害物質問題が、日本国内で波紋を広げている。
2月16日に日野自動車が、今春に発売を予定していた小型EVバス「日野ポンチョZ EV」の発売凍結を発表。その後、日野自動車に同バスをOEM(相手先ブランド製造)供給する予定だったBYDが、有毒な「六価クロム」を使用していたことが、一部報道により判明した。2月21日には、27日からBYD製のEVバスを運行させる予定だった西武バスが運行の中止を発表し、すでに運航中の京阪バスや阪急バスも、相次いで使用を中止した。
BYDは95年に、携帯電話などの電池メーカーとして創業。03年に中国の自動車メーカーを買収して、EVの製造・販売に力を入れはじめた。今や世界EV販売台数は米テスラに次ぐ2位と、急成長を遂げている。クルマ雑誌ライターによれば、
「京都府内を走るバス会社が15年にBYD社製の大型バスを取り入れて以降、そのコスパの良さから導入を決定する事業者が相次ぎ、全国で約80台が納入されています。当然、BYDは乗用車でも日本市場を狙っており、今年1月からは第一弾となる『ATTO3(アットスリー)』の販売をスタートさせています」
今回、使用が発覚した六価クロムは、日本自動車工業会(JAMA)が自主規制として08年から使用を禁止している化学物質。BYD日本法人は報道を受け、使用を認めた上で「今年末に納入を予定しているEVバスについては、自主規制に準拠した素材で製造・販売する」としているが、
「日本での販売にあたっては『必要な法規に準拠してきた』『通常の車両運用においては、乗員・乗客や整備メンテナンス担当者への影響はない』などと不満げです。とはいえ、部品のサビ防止のために使っているという六価クロムは、皮膚に付着した状態で放置すると皮膚炎、腫瘍になる可能性や、発ガン性物質であることが指摘されている。BYD日本法人はJAMAに加盟していませんが、危機意識の低さには呆れてしまいますね」(前出・クルマ雑誌ライター)
安かろう悪かろうでは済まされないはずだ。