11日間のWBC強化合宿が終了。大谷翔平ら主なメジャー組の姿がなくても、メインスタジアムの「ひなたサンマリンスタジアム宮崎」には連日1万7000人以上のファンが集まるお祭り騒ぎだった。アサ芸密着記者は再び侍たちの動向を追うべく宮崎にリターン。スター軍団の内情を探ってみれば、あれよあれよと不安要素が出てきて‥‥。
2月17日よりスタートしたWBC強化合宿。連日、選手の送迎バスが停まる球場の玄関付近には300~400人のファンが大挙して押しかけていた。一番のお目当てはダルビッシュ有(36)の“神ルーティン”だった。NPB関係者が解説する。
「即席の“ゲリラサイン会”を欠かさない日はありませんでした。それも1人や2人だけではなく、毎日最低40~50人にサインをしている。時にはツーショット撮影にも応じてくれることも。そんなダルのサービス精神に影響されて、他の選手たちも練習後や合間にサインをするようになりました。ファンを大事にする、MLBの流儀を背中で教えているのでしょうね」
とりわけ、ダルビッシュに群がるファンの多さは想定外だった。21日には、常設されたプラスチック製の安全柵が2本折れて、子供が押し出される形で転ぶアクシデントも発生した。警察関係者が続ける。
「22日には金属製の柵を追加で設置して補強しました。それでもサインを求めるファンの圧はすさまじく、警備会社から派遣されたスタッフとともに下から柵を支えなくてはなりませんでした。もしもエンゼルスの大谷翔平(28)が来ていたら、昨年の『ソウル梨泰院雑踏事故』のような事態になっていたかもしれません」
ダルビッシュにメロメロなのはファンだけではない。実にチームメイトからも「教祖」さながらに崇められているのだ。ウォーミングアップやウエイトトレーニングの時間に助言を求めたDeNAの今永昇太(29)が、アサ芸の直撃に応えた。
「体作りやサプリメントにしても、自分の聞いたことのない知識ばかり。不慣れなWBC球へのアドバイスはもちろんですが、試合に臨むメンタルについても一家言をいただきました。自分のネガティブな性格が必ずしもマイナスではなく、『つきあい方でいい方向に向けられる』というような前向きな内容でしたね」
同様に教示を受けたのは、西武の山川穂高(31)。オフ前日の23日、宮崎市内の高級寿司店で、山川ら5人の野手陣がダルビッシュを囲んだ。
「ヤンキースのアーロン・ジャッジ(30)の打ち方やエンゼルスのマイク・トラウト(31)のコースごとの打率など、投手目線で打者の話をしてくれました。(ふだんの)自チームでは投手と一緒に食事に行って野球談議をすることもありませんから、貴重な機会でした。ダルさんがMCになって全員に話を振って盛り上げてくれましたね」
まさに主将不在の侍ジャパンを支える屋台骨にほかならない。しかしながら、常に輪の中心にいるダルビッシュの心労を危惧する声も絶えない。球界関係者が明かす。
「かなり無理をしているんじゃないでしょうか。本来、自分の時間を犠牲にしてまでチームメイトのために尽くすようなタイプじゃありませんからね。選手に入れ替わり立ち替わりでアドバイスを求められるばかりか、内気なオリックス・宇田川優希(24)のために食事会まで主催している。09年大会後のイチロー氏(49)のように、胃潰瘍になってしまわないか不安視されています。大谷の合流が遅いこともあって、注目がダルに一極集中してしまっていますからね」
一方で“世話焼き”の一面は古巣の日本ハム時代からかいま見られていた。日本ハム関係者はこう語る。
「率先して若手の面倒を見ることは厭いませんよ。あれは、中田翔(33)の3年目でした。かつては自身も更生して絶対的エースに上り詰めた経験もあり、当時、問題児扱いされていた中田を一人前にするため重い腰を上げたんです。札幌のダルの自宅に居候させて、生活スタイルを改めさせた。朝起きればご飯を食べさせて、球場に行くまでのルーティン、ナイターが終わって帰ってきてからのルーティンを教え込んだのです」
元ヤンチャ坊主だけに、慕われると男気を発揮するタイプだが、気遣いばかりでピッチングに悪影響が出なければいいのだが‥‥。